更新日:2020年09月01日 18:20
ライフ

年収300万円以下・貯金ほぼゼロでも焦りなし…まったり貧困の共通点

まったり貧困が迎える未来は老後破産!?

まったり貧困で生きる

非正規雇用の割合の推移

 とはいえ、非正規雇用・低所得・貯金ナシで好きなことをできるのは“今”だけの話だ。 「日本の年金制度は、マイホームを持ち、老後は夫婦2人での暮らしをベースに構築されています。賃貸や独身という時点で、年金生活は成り立たなくなります。つまり、破産のリスクがあるのです」  無自覚な貧困は、日本経済全体にも深刻な打撃を与える恐れが。 「今、中間管理職すら非正規社員が担う事例が増えています。中核的な正社員の育成を放棄すれば、当然企業の中長期的な成長はない。このままでは日本経済全体がスカスカになる危険性があります」  では、そんなリスクを秘めた“まったり貧困”に陥りやすい人の共通点とは? これまで数多くの貧困予備軍の財務状況を改善してきたファイナンシャルプランナーの田中佑輝氏はこう語る。 「自由に使えるお金が多く、浪費癖がつきやすい実家暮らしや社宅族の独身者がまず挙げられます。続いて、“リボ払い”を利用している人も金融リテラシーが低く、貧困に陥る傾向があります。また、転職や引っ越しなどによって収支の状況が変わったのに、生活水準を変えられない人も同様です」
まったり貧困で生きる

田中佑輝氏

 最初の就職も重要だ。 「大卒なのに新卒一括採用を活用せず、非正規雇用から就職をスタートさせる人もまったり貧困化する可能性が高いですね。正社員という職位と待遇を経験して知っておいたほうがいいかと」(藤田氏)  さらに、田中氏のところに来る相談者には、ある癖があるとか。 「『子供の養育費で』『部下には奢らなきゃいけないので』など、お金がないのを人のせいにしがちです」  そんな“まったり貧困”の実態を収録。己の現状と比較してもらいたい。 ●まったり貧困の共通点 □自由に使えるお金が多い。実家暮らしや社宅族 □生活が変化しても生活水準を変えられない □リボ払いやキャッシングを利用している □お金が足りないことを自分のせいではないと考えている □大学卒業後に選んだ最初の就職が非正規雇用 【藤田孝典氏】 社会福祉士。NPO法人ほっとプラス代表理事。聖学院大学心理福祉学部客員准教授。専門は現代日本の貧困問題と生活支援。著書に『棄民世代』(SB新書)など 【田中佑輝氏】 ファイナンシャルプランナー。アルファ・ファイナンシャルプランナーズ代表取締役。実践的な資産運用が好評。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』(アスコム) <取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/渡辺貴弘>
1
2
年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
おすすめ記事