更新日:2020年06月10日 22:18
仕事

月収23万円の40代契約社員、コロナショックでも悲観しないワケ

 国税庁の発表によると2018年の日本の平均年収は441万円だ。しかし今、非正規雇用で平均を大きく下回る低収入、貯金もほぼないが、その現実に危機感を持つこともなく好きなことをして暮らす無自覚な貧困層が増えているという。その実態に迫った! ▼瀬戸際に立つ40代のまったり貧困:小泉太一さん(仮名・43歳)

資格のおかげで非正規でも重宝。夢は海外移住

まったり貧困で生きる

派遣社員だと職場の飲み会にもあまり誘われず、人間関係もサッパリしていられるとか

「もともと飽きっぽい性格で一か所で働き続けるのが苦手なんです。それで正社員になることはあえて希望せず、半年や1年単位の契約社員で勤務しているんです」  そう語るのは、契約社員として機械メーカーの工場に勤める小泉太一さん(仮名・43歳)。ただし、辞めてもすぐ次の職場で働き始めるわけではないという。 「一定期間働いて貯めたお金で、東南アジアのタイやマレーシア、カンボジアなどに行って1か月ほどのんびり過ごすんです。そしてまた帰国して働く生活を10年近く続けていますね。本当は向こうでリタイア生活をしたいですが、さすがにそのお金はないので短期滞在で我慢しています」  非正規とはいえ、職場をコロコロと替えると次の採用時に不利になりそうな気もするのだが、本人はまったく意に介さない。 「更新しないだけで、契約満了までは働いていますから。それに僕は工業系専門学校の出身で、旋盤や金型などの工場勤務に役立つ資格を複数持っていて、それを生かした業務の経験も積んでいます。おかげで普通の契約社員よりも基本給が高く、正社員の誘いも何度かありました。そこで正社員になっていれば収入はもっと増えたでしょうけど、それだと簡単に辞められなくなりますからね(笑)」
まったり貧困で生きる

以前、小泉さんが長期滞在していたカンボジアの中級サービスアパート。プールとジム完備で家賃は月6万円程度だったという

 コロナショックで非正規労働者の雇い止めが起きているが、本人はそこまで悲観していない。 「リーマンショック後のひどい状況でも仕事が見つかったし、僕自身は今回も大丈夫かなと思っています。実際、今の工場とは3月末までの契約で、満了でそのまま契約が終了した人もいたのですが、僕はもう1年更新することができましたしね。本当はいつも通り東南アジアに行く予定だったけど、コロナのせいでしばらく無理なので、もうちょっと働きます(笑)。別に普段から物欲もないし、日本にいる間は社員寮で暮らせるので、その間に海外で遊ぶための貯金を増やせたらいいかなと思っています。老後のことは、そのときになったら考えようかな」  やや楽観的に見えなくもないが、少なくとも、本人は今の暮らしに満足しているようだ。 【収入】 月収(手取り)23万4000円 ―――――――――――― 【支出】 実家に入れるお金 4万円 外食費 2万円 通信費 1万5000円 保険料 1万8000円 ジム代 6000円 海外旅行費 6万円 雑費 3万5000円 貯金 4万円 ―――――――――――― 収入-支出の合計 0円 <取材・文/週刊SPA!編集部>
年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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