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貧困でも焦らない若者たち。節約が趣味で貧乏回避、毎年ハワイ旅行にも…

 国税庁の発表によると2018年の日本の平均年収は441万円だ。しかし今、非正規雇用で平均を大きく下回る低収入、貯金もほぼないが、その現実に危機感を持つこともなく好きなことをして暮らす無自覚な貧困層が増えているという。その実態に迫った!

節約が趣味で貧乏回避。毎年ハワイ旅行にも

 7歳年上の専業主婦の妻と3歳とゼロ歳の子供を持つ多田照正さん(仮名・36歳)の本職は芸人だ。本業の収入は雀の涙ほどで、4つアルバイトを掛け持ちして家族を養っているという。手取りは20万円程度だが十分なのだとか。 「もともと節約が趣味だったのが功を奏して、貧乏暮らしもせずなんとかなってますね。一昨日も牛角で焼き肉を食べたんですけど、覆面調査員として利用したので、一人700円ですよ(笑)」  住居も都営住宅に応募し続けて昨年当選。家賃3万5000円だ。 「前に住んでいた物件から7万円も家賃が下がって、2人目をつくるきっかけになりました」  子育てといえばお金がかかるが、実態は? 「子供の保育園料は月3100円で、中学高校になれば話は別だと思いますが、今のところ養育費はたいしたことないです。家具も港区や世田谷区のリサイクルセンターは本当にキレイで質の高いものがあるのでオススメですよ」  そんな多田さんの趣味は、ハワイ旅行。バイト代の残りを貯金して毎年訪れるのだとか。充実しつつも、安定とはいえない生活だが、老後に不安はないのだろうか。 「バイトなら仕事はあるだろうし、経済の情勢は読めないけど、いざとなったら政府がなんとかしてくれるんじゃないかと(笑)。まあそれまでに芸人としてブレイクしていたいですけどね」  したたかさと無計画性を併せ持つ多田さん、本願である芸人としての成功も応援したい。

オーバードクターのまったり実家生活

まったり貧困で生きる

中松謙介さん(仮名・37歳) 自室の本棚には人文社会学系の参考文献がズラリ。院生時代は一人暮らしだったが、実家に戻ったことで研究に充てる時間も増加

 オーバードクターの中松謙介さん(仮名・37歳)は、月収10万円以下で暮らすまったり貧困だ。 「収入は週1回の大学の非常勤講師と、年に数回の治験のアルバイトです。もともと物事を分析するのが好きなので、それを生かして最近はライター業も始めて、合計で月9万円程度といったところです。お酒もあんまり飲まないし、彼女もいないので出費は全然ありません。それと、コネがないとなれない非常勤講師の職を得たことと、両親の理解があって実家暮らしができているという点は幸運でしたね」  特に娯楽に興味はなく、空いた時間は定年を迎えた父親の世話と、専門である人文社会学の研究、論文執筆に充てているという。ある意味、悠々自適な生活だ。 「恥ずかしながら昼に起きて深夜に寝る生活をしていますね。趣味もネットサーフィンくらいだし、本とPCがあれば研究はどこでもできるので、図書館に行くのと非常勤講師の仕事のとき以外は完全なインドア生活を楽しんでいます」  そんな中松さんは、就職の見通しも立っているのだとか。 「われわれの業界は論文の質よりも数がとにかく重視されるのですが、来年には就職に必要な数の論文が揃う予定です。大学の教授も目指したいですが、シンクタンクも視野に入れています」  まったり貧困脱出なるか、中松さんの武運を祈りたい。 <取材・文/週刊SPA!編集部> ※週刊SPA!4月7日発売号の特集「まったり貧困で生きる」より
年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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