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裏社会の巣ごもり事情。大麻、ネトフリ、ウーバーイーツ…

半グレ コロナ旋風が多くの業種に大打撃を与えているが、それは“裏社会”で生きる人々にとっても、決して無縁ではない。違法なドラッグやギャンブル、特殊詐欺(オレオレ詐欺、振り込め詐欺など)に関わっている彼らの現状はどうなっているのか。『半グレ』(彩図社)著者で裏社会に詳しい作家の草下シンヤ氏に話を聞いた。 ・・・・・

裏稼業の人もコロナ禍では家にこもる

 緊急事態宣言の発令により、繁華街の居酒屋やキャバクラなどは、軒並み店を閉じている。ヤクザや半グレと呼ばれる人々も、家にこもる人は増えているようだ。 「外出できないので、室内でドラッグ遊びをする人が増えています。たとえば大麻であれば、最近の相場はグラム4000~7000円ほど。ジョイントと呼ばれる紙巻きにする際に1本0.3グラムほど必要なので、1グラムはジョイント3本ほどに相当します。友人や恋人と2人で一晩楽しむなら、このぐらいあればいいでしょう。居酒屋に行くより安いぐらいです。合法の国においては、健康的な過ごし方と言っても間違いではありません」(草下氏、以下同)  コカインやMDMAは俗に“パーティードラッグ”と呼ばれており、クラブや仲間内の誕生会といった場面で使われることが多いため、需要は減少。1人や少人数で使うことの多い大麻や覚醒剤の需要が伸びているという。これも一種の巣ごもり消費というわけだ。 「売人いわく『家にこもって大麻、ネトフリ、ウーバーイーツとは時代も変わった』。大麻でリラックスしながら、ピザやお菓子を食べて、音楽聞いたりオナニーしたりしてるんじゃないですかね」  航空便が激減し、海外からの密輸ルートが狭まっているが、大麻は7割が国内生産と言われているため、極端な価格高騰は起きていない。 「かつてはインドやアムステルダムなどの輸入物も多かったのですが、諸外国で大麻が合法化がされるにつれて品種改良が進み、質の良い種子が手に入りやすくなりました。大麻の種子は大麻取締法の規制外のため、リスクが小さい。日本では5年ほど前から“農家”、“グロワー(grower)”と呼ばれる人々が国内生産を盛んに行うようになり、良質な大麻が手に入りやすくなりました。室内でLEDライトを使い、水耕栽培するケースが一般的です」

薬物が減り、増えているのは大麻

大麻 多くの飲食店が悲鳴をあげる一方、大麻業者は好景気が吹いているようだ。  「コロナ以降の大麻人気により『小口は後回しにしている』という売人もいるので、今後、多少は割高になっていくかもしれません」  覚醒剤については、国内に製造工場は存在しないと言われているため、ほとんどが海外からの輸入品となる。洋上で船を横付けして荷物を積み替える“瀬取り”で入ってくることが多いという。 「近年、ヤクザは法的・社会的な締め付けが厳しくなったため、シノギが覚醒剤に集中しており、国内の備蓄が多くありました。バンバン輸入していたので、在庫がダブつき気味だったんです。コロナ特需というほどではないかもしれませんが、需要増で喜んでいる人はいるでしょうね」  ドラッグ需要が増えるだけでなく、逮捕リスクという面でも以前と変化があると草下氏は指摘する。 「麻薬取締官、通称マトリは厚労省の管轄ですが、省全体がコロナ対応に追われていて、警戒が手薄になっている可能性はありますね。空港の税関検査も、今は覚醒剤よりコロナのほうが関心事でしょう」  コロナはドラッグ密売業者にとって“順風”にも見えるが、マイナス要素もないわけではない。 「ユーザーまで届ける配達のリスクは多少あがっているでしょう。以前は繁華街の人混みに紛れてさっと手渡しできたものが、これだけ閑散としていると、心理的ハードルは上がります。警察官に出会す確率も相対的に上がっているので、電車で移動して手渡ししていたような人たちは、ロッカーを使うなど、別の方法を考えているかもしれません」  裏社会の人々も、あの手この手で文字通りシノいでいるのである。 <取材・文/西谷格> 草下シンヤ氏 出版業界歴20年を超え、裏稼業やサブカル系に精通。『裏のハローワーク』『半グレ』『ハスリンボーイ』『D.O自伝 悪党の詩』『雑草で酔う』『売春島』『ルポ西成』など、ヒット作に多く携わる。文庫化された『半グレ』が好評発売中
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