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マンガ『ちはやふる』の千早はなぜクイーンを目指すのか?

思い出は何度も思い出すことで強くなる

 また新の家でカルタで遊んだ後も、千早の幼馴染である太一が加わり、三人でかるた教室に通ったり、小学生対象のかるた大会に参加したりする展開があります。この三人の関係は、中学進学で離ればなれになるまで続きました。  こうした原風景を含んだ前後の体験をマインドレコーディングでは、「黄金時代」と呼んでいます。なぜ黄金時代なのかというと、それが三年経っても五年経っても十年たっても、いつまで経っても色褪せずに輝き続ける思い出になるからです。  思い出はとても強いモチベーションになります。競技かるたでクイーンになるのは簡単なことではなく、たくさんの努力が必要です。また、何度も挫折しそうになる瞬間がやってきて、その度にその挫折を乗り越えていく粘り強さも必要になります。  粘り強さは「こうすればかるたで強くなれる」といった理屈だけでは身につきません。誰かに負けても、自分の考えたことが裏目にばかり出ても、「それでも自分は諦めを乗り越えていくんだ」と考えられるかどうかは、誰かに心を揺さぶられた体験「原風景」と、その原風景に前後する「黄金時代」が、自分の心の中で輝き続けているかどうかで決まります。  決断、人物の影響、原風景、黄金時代は心の世界の出来事です。そして心の世界というのは、自覚してはじめて活用できるようになります。たとえ心を揺さぶられた体験が過去にあったとしても、「そういえばそんなこともあったなぁ」では、原風景や黄金時代にはなりません。 「そんなこともあったなぁ」と軽く思い出す程度で、心が動かず感動していないと、だんだんその思い出がセピア色に色褪せていきます。反対に「あの時に、ああいうことがあった。それが今の自分につながっているんだ。だから今の自分はこれをしているんだ」と何度も確かめていると、その思い出がいつまでも色褪せずにどんどん輝いて見えるようになります。  同じ体験をしていても、今の自分がどう扱うかで、セピア色になるか、いつまでも輝き続けるかが決まります。そして、それによってどんな決断をするのか、さらにその決断がどんな結果をもたらすのかも変わります。 『ちはやふる』では、決断や人物の影響、原風景や黄金時代がとてもわかりやすく描かれています。単行本の発行部数2400万部、アニメが3期まで続いて、実写映画も3部まで作られており、内容をご存知の方も多いと思います。しかし、繰り返しになりますが、心の世界は自覚することで、その影響が強まります。  もし興味が沸いたら、決断、人物の影響、原風景、黄金時代といったキーワードを念頭に置いて、第1巻と第2巻を読み直してみてください。新たな発見があるはずです。 佐々木
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

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