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心霊スポット300ケ所に潜入した記者が体験…深夜ロケの怖すぎる話

心霊スポットではなかったのに……

 このまま撮影を諦めて引き揚げようという話になったが、カメラマンが「車のシガーソケットから電源を引っ張れるかも」と言い出し、ケーブルでつないでみると見事作動。それでも謎の音に対する怖さもあり、車から出ずに窓を開けて撮影を急いで済ませて逃げるように現場から立ち去った。  炭鉱街から離れると聞こえなくなったが、「撮影を途中で切り上げたのは音源がすぐ近くまで迫ってきている気がしたから。これ以上、ここに留まるのは本能的にヤバイと思った」と編集者。  廃集落として一部の廃虚マニアのサイトなどでは紹介されていたが、心霊スポットとしての情報は皆無。ネット上にもここに関する怖い話などの噂は見当たらず……。
一帯には90年代後半まで人が住んでいた

一帯には90年代後半まで人が住んでいた

 謎の音の正体が何なのかは今でも見当もつかない。筆者自身には聞こえなかったことから現地ではそこまで怖いと思わなかったが、現場を離れた後に2人からの話を聞いて震え上がったのを今でも覚えている。

現在はダムの底に

 なお、問題のカメラはロケ終了後にメンテナンスに出したそうだが、ボディやバッテリーにも異常などは見当たらず。少なくとも故障ではなかったようだ。  それまでは真夜中に心霊スポットを訪問しても怖いという感覚はなかったが、この一件で筆者を含めて全員すっかりビビリに。しばらくの間、日中のロケに切り替えていたのは言うまでもない。  また、東京に戻った後、祟られたらどうしようと不安だったが、怖い話でありがちな原因不明の高熱にうなされることも事故などの不幸が重なることもなかった。  しかし、カメラマンは後日、筆者が担当していない別の現場で霊媒師を撮影した際、「(霊が)憑いてますね」と言われたとか。その場で急きょお祓いを受けたそうだがロケから数年が経っており、あのときの不思議な体験が関係しているのか定かではない。  現在、炭鉱街は周辺の地域を含めてほとんどが水没。一体、あれは何だったのか? 真相はダムの底に沈んだままだ。<TEXT/高島昌俊>
フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。
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