【3・11特集】反原発を訴える人々の叫び 山本太郎、Chim↑Pom、おしどりetc.
―[3・11特集]―
福島原発事故の発生後、「ヤバい!」という本能的な反応と、何が正しい情報か分からない状況に、多くの人が不安に包まれた。事故はなかなか収束せず、“震災うつ”となる人も増えていった。しばらくすると、反原発を訴える人々が現れた。山本太郎、吉本興業・おしどり、Chim↑Pom、OVER60世代のシニア決死隊らだ。彼らは、3・11後、何を感じ行動に至ったのだろうか? 震災から1年間、SPA!取材班が伝えた活動家たちの声を振り返る。
◆山本太郎(俳優)
小誌取材に対し、Twitterで反原発を表明したときのことを振り返りこう語っていた。「福島の人たちが国に見殺しにされているというのに、間違いに対して間違いと言えないのは人として終わってる。プライベートでは反原発の話をしても、役者としては発言しない……これじゃ僕も原発に賛成しているのと一緒」その後、原発反対を訴えるデモに積極的に参加。原発「都民投票」に向けた署名運動では、原宿駅の街頭に立ち、声を張り上げていた。
※山本太郎「ツイート後は涙が止まらなかった」
⇒ https://nikkan-spa.jp/18442
◆新右翼団体「一水会」最高顧問・鈴木邦男氏
全国で反・脱原発の声が高まるなかで、従来の「反原発=左翼」という概念を超え、保守・右翼側も動いた。2011年9月19日に東京で行われたそのデモには約6万人が集まった。新右翼団体の一水会最高顧問・鈴木邦男氏は「『左翼を利するだけ』など反対の声もあるが、この非常時に右も左も関係ない」と話す。
※[右翼だって反原発!]その主張を聞いてみた
⇒ https://nikkan-spa.jp/167720
◆Chim↑Pom(アーティスト)
渋谷駅構内の通路にかかる巨大な壁画、岡本太郎画伯の作品「明日の神話」の一角に、福島第一原発事故を想起させるべニア板張りの絵(実際は塩ビ板に描かれた絵)が貼られた。“付け足し”をしたとされるのは、エリイ、卯城竜太、林靖高、水野俊紀、岡田将孝、稲岡求の6人で編成された「Chim↑Pom」というアート集団だった。彼らが伝えたかったメッセージとは何だったのか?
卯城「被曝を忘却しながら、原発安全「神話」の中で僕たちはずっと放射能に依存してきたわけです。それで放射能の被曝をまた経験してしまったことが重要だと思う。福島の原発事故を単発で見るんじゃなく、歴史的にちゃんと見て、日本はこういう被曝体験を何回もしてしまったってふうに捉えないと、また同じことが起きてしまう。未来に対しても過去からの流れで見る必要があると思うんですよ」
さらに、彼らはこの作品を作るため、4月に福島原発の前まで行ってきたという。
林 「邪魔になっちゃうのは嫌だったんで、地震から数日経過して救援活動が終わる頃に支援物資をもって様子を見に行ったんだよね。さらにしばらくたって、ボランティアに参加したり。東京にいたらわからない生で見るリアルな原子炉建屋の表現をしたかった」
卯城 「同じ人間としてなるべく現場に近いところで、何かを体で感じなきゃいけないとは思いましたよね」
エリイ 「つまり、今回の爆発する原発の“らくがき”は、テレビのモニターを通して模写した絵じゃなくて、実際自分たちの足で福島まで行って、目の前にそびえたつメルトダウンした本物の原発を描いた世界で最初の絵だってこと!」
※【インタビュー】岡本太郎の絵に付け足された原子炉建屋の絵は「本物」だった
⇒ https://nikkan-spa.jp/9461
◆おしどり(吉本の夫婦漫才コンビ)
福島原発事故後、東京電力の記者会見はネット中継され、多くの人の関心を集めた。会見場には、大手新聞社やテレビ局の記者らに交じり、異彩を放つ2人組がいた。吉本芸人の夫婦漫才コンビおしどりだ。「グリーンピースの海洋調査では沖合52kmでも暫定規制値をはるかに超えて汚染された海藻が見つかっていましたが、この調査を見ると沖合のデータはないのですか?」など、プロの記者顔負けの鋭い質問を次々とぶつけていった。彼らはなぜ芸能界のタブーとも言われる原発関係に斬り込んでいったのだろうか?
マコ 「最初は、新聞やテレビが言ってることと、ツイッターに出てくる情報にかなりズレがあると感じてたんで、実際に自分の目でネットの会見番組を全部チェックするようになったんです」
芸能界のタブーとも言われているが、その点は大丈夫なのだろうか?
マコ 「おしどりを好きって言ってくださるお客さま、チビッコはみんな守ろう! というのが出発点なので、事故を詳しく知って考える、というのはおしどりの仕事ととして同じことなのです」
※吉本興業で、原発ネタは俄然タブーです
⇒ https://nikkan-spa.jp/16501
◆福島原発行動隊(シニア決死隊)
若者たちを被曝から守り、原発事故を収束させることを目的に、さまざまな経歴を持つ60歳以上の人々によって結成された団体。「少なくとも子供をつくる可能性がある世代は、絶対に被曝すべきじゃない。次の世代に取り返しのつかない負の遺産を背負わせないためにも、私たちシルバー世代の人間のなかには、何かやれることはないかと考えている人は多いんです……」同じ想いを持つシルバー世代数百人が結集した。
※原発暴発阻止 72歳「平成の特攻隊長」インタビュー
⇒ https://nikkan-spa.jp/6040
※シニア決死隊の決意「オレたちが悲劇を終わらせる!」
⇒ https://nikkan-spa.jp/58764
<構成/日刊SPA!取材班>
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