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東京湾の砂浜を走る佐々木朗希。ジョニーもYFKも行った、マリーンズ投手陣「伝統の調整法」

「自分も一緒に」。先輩の岩下投手について走り始めた

ZOZOマリンスタジアムで調整中の佐々木朗希投手

ZOZOマリンスタジアムで調整中の佐々木朗希投手

 全体練習が終わるとユニホームを脱ぎ、短パン、Tシャツ姿になった。向かった先は海だった。ZOZOマリンスタジアムのすぐ横には砂浜が広がり、東京湾が見渡せる。佐々木朗希投手は真夏日の炎天下、ジョギングに向かった。  キッカケは、その前日に先輩投手の岩下大輝投手が走りに出かける姿を見たこと。「自分も一緒に」と名乗り出た。この日も一緒に走った。そんな岩下は、先輩の益田直也投手が走っているのを見て走り始めた。  マリーンズ投手陣にはこの砂浜を走ることが伝統としてある。古くはジョニーこと黒木知宏投手。YFKと呼ばれ、マリーンズ最強の必勝リレーを形成し2005年の日本一に貢献した薮田安彦投手、藤田宗一投手、小林雅英投手もこの場所でトレーニングを積んでいた。下半身強化のため、夏場だからこそ走り込む。脈々と受け継がれている調整法だ。

「夏場にしっかりとしたパフォーマンスを出せる投手にならないと」

「風があって気持ち良かったです」  スタジアムに戻ってきた佐々木朗希は大粒の汗を流しながらも爽快な表情を見せた。片道2kmで往復4kmを約30分間、走った。これまで球場内で体を動かしていたから、海がこんなに近いとは知らなかった。暑い中でも風が心地よく、海がキラキラと光って見えた。  一挙手一投足を追われる話題のルーキーだが、さすがに球場の外でジョギングをしているとは思わないのであろう。誰かに気づかれることも声をかけられることもなく、走ることに専念することができた。 「暑いのは得意ではないです。寒いのはなんとか我慢できるけど、暑いのはダメ。だからこそしっかりと調整法を考えないといけない。プロ野球のシーズンは長い。夏場にしっかりとしたパフォーマンスを出せる投手にならないといけない」  1年間を通して力を出すトレーニング法を日々模索している佐々木朗希にとって、全体練習後の砂浜ジョギングは新たな選択肢となったはずだ。
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肌で知る震災とその前後の景色を、今後のプロ野球人生で伝えていく
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