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鈴木福、チョコプラ、オリラジ藤森etc.『香水』歌ってみたの魅力は?

モノマネといえばチョコプラの歌ってみた

 歌ってみた動画で、再現性の高いものを発表する流れはYouTubeやSNSで広く見られる文化だ。一方、テレビの世界で現在モノマネが重宝されているのがチョコレートプラネットで、クオリティの高い、IKKOや和泉元彌のモノマネで人気を博した。
 チョコレートプラネットはラジオなどで「あの頃は、似せることを考えてやっていたが、梅沢富美男さんをやり始めた頃から“本人が絶対にやらないこと”でもウケるようになってきた」といった趣旨の話をしている。彼らもまた同曲の歌ってみた動画を作っているが、まさに「オリジナル曲ではありえないこと」を組み込んだチョコプラらしいものになっている。  パッと見だけなら本人に似ていると言われている長田が、本家さながらに歌いはじめると、その上手さに誰もが驚くようでコメント欄にも「長田さんが普通に上手いから見れるとこある笑」といったコメントが並ぶ。しかし、隣でIKKOに扮する松尾が髪を振り乱しながら踊り出す展開に「音出してないやつが1番うるさい」「IKKOが居るせいで歌に集中できないw」と、2人のキャラクターが炸裂しているのがわかる。  まさに、IKKOが絶対にやらないことをここでも具現化しているのだ。歌のクオリティと見た目のパンチ力で、この動画は同曲の歌ってみたのなかでは圧倒的な2241万回以上の再生回数を記録している。

“あの人”を連想してしまうオリラジの歌ってみた

 オリエンタルラジオの藤森慎吾も、個人のYouTubeチャンネルに動画をアップ。この曲は、3年前に別れた元カノと久しぶりに会って、自分は言葉では、また好きになるのは「ありえない」と言いながらも、彼女にまだ未練が残っていて変わりきれない男の歌だ。  オリラジ藤森の元カノといえば、誰もが思い出すのは「あの人」。アナウンサー時代はアンチも多かったが、現在は彼女の自然体の生き方が、性別を問わず共感を呼び、尊敬される存在に。さらに、今年に入ってドラマでの怪演が大きな話題になるなど、女優としての活動をメインにするように変わってきている。この状況はまさに曲に重なる。それを踏まえて藤森の歌ってみた動画は「個人的な感情込みで歌ってみた」と題されており、オリジナルには存在しないラップ部分に個人的な思い出が詰め込まれている。  再生回数は433万回を超え、コメントには「2021年電撃復縁結婚。っていう妄想したけどなかなかエモい」「トラペーズにラゲージ オーガニック パワーワードすぎて草www」といったように、誰もが“あの人”を連想しながら視聴したようだ。そして、ほとんどのコメントが好意的であることから、嫌われ者だったあの人だけでなく、いまや藤森自身の好感度も上がっていることがうかがえる。
 これだけ『香水』が歌われているのは、誰もが歌いやすく、そのうえ、音もアコギだけで映像もイスだけという、ミニマムさが再現の垣根を低くしているからだろう。今後も『香水』の歌ってみた動画が広がっていきそうだ。<取材・文/Mr.tsubaking>
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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