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東京都の感染防止ステッカー。「誰でももらえる」事実をなぜツッこまない?/鴻上尚史

対策している店はどこか、結局は自分の判断が重要

 だって、6月の事業開始以降、小池都知事は、ことあるごとに、「レインボーマークを貼ってください」とステッカーと同じデザインのTシャツを着たり、フワちゃんとコラボしたり、大相撲7月場所に懸賞旗風の告知旗を登場させたりしたでしょう。そして、お店を選ぶ時の基準として勧めたでしょう。  これが私のコロナ対策の目玉だ、という感じだったじゃないですか。  でも、それは客観的な対策としては不充分なんだ、ということは、当然、記者の人達は分かっていたと思うのです。  でも、そのことが記者会見で問題にならなかったのは、小池都知事がそういう質問をしそうな記者を指名しなかったのか、それとも、記者クラブで忖度して質問しなかったのか、そんなことを言ってはいけないとみんなが思ったのか、なんだかモヤモヤします。  東京都は、ステッカー掲示のお店でのクラスター発生を受けて、2人1組で計6組が、ちゃんと感染対策をしているかどうか、お店を巡回すると発表しました。  ステッカーの発行件数は、8月13日時点で約17万5千件だそうですから、1組、3万件弱の担当です。  なんだかね、コロナの終息が見えなくて、ますます、世の中がギスギスしている感じがしています。  僕はもう、今は「戦時下」と思っていいんじゃないかと感じています。  何が正しくて、何が間違っているかさえ、よく分からなくなっているじゃないですか。  でもね、現代人が経験したことがないことが起こってるんだから、間違うことはあると思うわけです。  問題は、間違ったかなと思ったら、すぐに合理的に考えて、訂正することだと思うのです。  このステッカーが、最初から、「お店の自主的な努力」に任されていると強調されていたら、お客さんは自分で判断すればいいわけです。  レインボーのステッカーを貼ってるけど、密になっているぞ、おかしいぞ、ここで飲むのはマズくないか、とかですね。  意地悪な言い方をすれば、対策をしなくても、ステッカーを貼れば20万円、もらえますからね。  ちゃんと自主的に基準を守って、収入源に苦しみながら、客席数を減らして、パーテーションを作っているお店が、「正直者がバカを見る」という事態にだけはなってはいけないと思うのです。
ドン・キホーテ 笑う! (ドン・キホーテのピアス19)

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