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沖縄県は年収が全国ワーストでも幸福度1位。年収200万円でも楽しく生きる

 コロナショックの出口すら見えないなか、年収300万円どころか、年収200万円台が当たり前の社会が訪れようとしている。もしも貧困に陥ってしまったとき、我々はどうするべきなのか? 慶應大学大学院の前野隆司教授と自立生活サポートセンター・もやい理事長の大西連氏に話を聞いた。 年収200万で楽しく暮らす

「幸福」と「収入」は、学術的にも決して比例しない

 年収200万円と聞いて「不幸」と感じた人こそ不幸なのかもしれない。幸福学を研究する慶應大学大学院の前野隆司教授はこう解説する。 「都道府県別の幸福度を調査した時、もっとも幸せだったのは平均年収・失業率ともに全国ワーストの沖縄県でした。次いで鹿児島県、熊本県、宮崎県と平均年収が高くない地域が上位を独占。つまり、年収と幸福度には大きな相関関係はないということです」  特に、他者との比較や消費欲からもたらされる優越感には際限がなく、脆くはかないという。 「お金、社会的な地位、ブランド品といった”地位財”から得られる満足度は持続力が低く、愛情、自由、健康、社会への帰属意識などの”非地位財”からもたらされる心の充足は長続きするという研究結果が発表されています。また、笑顔を意識するだけで免疫力がアップして健康的になり幸福度が高まるという研究結果もあります。幸福を得るためには、お金が必要とは限らないのです」  地位や財産を追い求めるあまり身近にある幸せを逃しては本末転倒だ。

もし貧困に陥ったら……

 お金に頼らない自由な生き方と言えば聞こえはいいが、今回のコロナ禍によって自営業者が窮地に陥ったように、貧困に陥るリスクも高い。だからこそ、社会保障に頼ることが必要な時代でもある。そこで、もしもの時のサポートについて、生活困窮者の支援を行う自立生活サポートセンター・もやい理事長の大西連氏に話を聞いた。 「まずリアルタイムで困窮されている方は、コロナ対策の給付金や支援制度を活用すべき。若者を中心に給付金の未申請があるとの報道もありましたが、すでに自己責任で論じることのできる時代ではないので、『社会保障制度を利用するのが恥ずかしい』と感じる必要はありません」  今の日本では「家賃」の負担がもっとも大きい。その点、「住居確保給付金」は最長9か月の給付が可能だ。 「貧困ともっとも密接に結びつくのが『住居』『家賃』。もやいでも、新たにアパートを借りるまでのシェルター事業や住まい探しの相談フォームを開設しています。ただ、我々のようなNPOを継続運営するのにも、寄付や事業委託や事業化が必要。  だから支援団体も都市部に限られてしまい、地方のサポートにまで手が行き届かない現状があります。地方では行政が唯一の窓口のところもいまだに多い。ただ、『生活困窮者自立支援窓口』『社会福祉協議会』など頼りづらい名称でもあるので、そこで二の足を踏まずに、まずは相談だけでもしてみてください」  追い詰められたら一人で抱え込まないことも、これからの時代のニューノーマルだ。
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生活困窮者への支援制度
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