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できる限りの対策をして、稽古を続ける日々/鴻上尚史『ハルシオン・デイズ2020年版』

もうすぐ開幕 ハルシオン・デイズ2020年版をお届け

ドン・キホーテのピアス いよいよ、芝居をします。今年、僕は二本、コロナのせいで芝居が飛びました。  このまま、1年が終わることがあまりにも忍びなく、なんとか踏ん張って公演をすることにしました。  しかし、冷静に考えると、これはものすごいギャンブルです。  もし、稽古から公演の三カ月弱の間で、キャストやスタッフに一人でも感染者が出たら公演中止です。金銭的損害は、たぶん、億という金額になります。  リスクヘッジに敏感な企業なら、間違いなく「やめましょう」となるでしょう。  それでもやるのは、「演劇人だから」としかいいようがありません。  もちろん、感染しないためにできることはすべてやっています。  スタッフ・キャストは全員、稽古開始前にPCR検査を受けて陰性を確認し、その後も定期的に受けています。  稽古場は抗菌コートして、毎日、開始前に検温し、消毒薬で手だけではなく、机や椅子、床、小道具などを拭いています。

俳優もマスクをつけたまま稽古

 窓を開けたまま稽古し、1時間おきにさらにドアを全解放して空気を入れ換え、スタッフだけではなく、俳優もマスクをつけたまま稽古します。僕も、もちろん、マスクをつけたまま演出します。マスクをつけたまましゃべり続けると、ものすごくムレますがしょうがありません。  稽古場での食事もやめて、どうしてもという時は、無言でさっと一口で食べられるものにしています。  稽古後の親睦飲み会もいっさいやめて、みんな、静かに集まり静かに去っています。  それでも、稽古場までは、公共交通機関を使うわけですし、それぞれの家庭生活がありますから、絶対の保証はありません。  無事に公演ができたらそれでオッケーというわけでもありません。  観客席の50%の制限は、9月19日から、感染リスクの少ないイベント(大声での歓声・声援がない)に限り、100%に緩和されました。  ただし、それと観客が精神的に安心することは、もちろん別です。  コロナ前なら、即日完売であろうキャストや作品のものでも、制限50%も売れないということの方が普通でした。  あちこちから、「このキャストでもチケットが売れない」「この演目なのに売れない」という声が聞こえてきました。
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できる限りの対策をして、稽古を続ける日々
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