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「#自殺」で出会った、4人の男女の物語/鴻上尚史

新作舞台が絶賛公演中、「#自殺」で出会った、4人の男女の物語

ドン・キホーテのピアスハルシオン・デイズ2020』が、10月31日から新宿紀伊國屋ホールで始まりました。  と、書きながら、この原稿は10日ほど前に書いていますから、まだ分かりません。  もうすぐ4回目のPCR検査です。  もともと『ハルシオン・デイズ』は2004年に初演しました。  この時は、ネットの「自殺サイト」で出会った4人の話でした。  やがて、その中の一人が自分は「人間の盾」であるという妄想を持ち始めます。  当時、イラク戦争で病院や学校を爆撃されないために、市民ボランティアが「人間の盾」として戦地に集まるという動きがあったのです。  死のうと思っていた人間が、自分自身を、「人間の盾」という、生きて生活するだけで意味がある存在だと思い込むのです。  この作品は、その後、ロンドンで2011年にイギリス人キャストで上演しました。  けれど、「人間の盾」は、当初の「民間人を守るために自らが盾になる」という、いわばポジティブな定義から、イスラム国などが「自分達が攻撃されないために、占領地域の人々を盾にする」というネガティブな意味に変わってしまいました。

「自粛警察と戦う」組織を作るという妄想を持つ物語

 なので、今回は、ツイッターの「#自殺」で知り合った4人のうちの一人が、「自粛警察と戦う」組織を作るという妄想を持つ物語にしました。  秋に作品をするなら、少人数の芝居がいいなと思っていました。  4月5月の頃、ツイッターを中心にSNSがとても荒れてきて、「自粛警察」が日本各地で現れた時に、このことを描こうと思ったのです。  物語の骨格は同じでも、内容を変えることを僕は「新作的再演」と呼んでいます。  今回はそういうスタイルです。
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ハルシオン・デイズ2020、舞台を彩るキャスト陣
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