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母の入院先からの連絡、別れの後にやってきた現実/鴻上尚史

千秋楽5日前にとどいた、母の入院先からの連絡、別れの後にやってきた現実

ドン・キホーテのピアスハルシオン・デイズ2020』の東京公演が無事に終わりました。計5回のPCR検査でも、キャスト・スタッフ一同、全員、陰性でした。  劇場は換気し、シートを消毒し、物販の数を最小にし、お客さんには検温、手と靴裏の消毒、万が一のことを考えてチケットの裏に名前と電話番号を書いていただきました。  それでも、楽日まで公演ができたのは奇跡だと思っています。  知り合いの公演が、陽性者が出て中止になったという知らせが入ってきます。そのたびに、胃が絞り上げられるように痛いです。  12月5、6日の大阪公演に向けて、6回目のPCR検査を受けます。  千秋楽の5日前、故郷の病院から母親の容体がよくないという連絡がありました。  母親は2年前に脳梗塞を患い、特養老人ホームのお世話になっていました。  会話はできず、意志の疎通もうまくいかないのですが、それでも、面会すれば、何かが通じ合っているように感じました。

コロナの影響で面会ができない

 けれど、今年の2月以降、コロナの影響で面会ができなくなりました。  そういう人が日本中にたくさんいると思います。  特に東京からの面会は控えて欲しいと言われました。しょうがないことだと分かっていても、10カ月近く面会できず、ジリジリとしていました。  公演の途中で母親は肺炎になり、特養老人ホームから病院に入院したという知らせがきました。  病院も、コロナの影響で面会できないという話でした。  が、容体が悪いという連絡の後、面会ができると教えられました。  ああ、切迫した状況なんだなと感じました。
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淡々と算定されていく「死」の金額
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