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毎年恒例、七味五悦三会で、今年を振り返る/鴻上尚史

毎年恒例、七味五悦三会で、今年を振り返る

ドン・キホーテのピアス 1年が終わりますなあ。2020年が始まった時には、まさか、こんな1年になるとは、想像もつかなかったですね。  世界中の「予言ができます」って言ってる霊媒師さんとか超能力者のうちで、誰か「世界中で伝染病が流行り、ロックダウンや緊急事態宣言が出て、いろんなお店が閉まり、大変なことになる」なんて当てた人はいるんでしょうかね。  まあ、いたら世界的に話題になってるはずですからねえ。「2020年はとんでもないことが起こる」ぐらいじゃダメですからね。「とんでもないこと」は毎年、それなりに起こってますからね。  演劇人が会うと「なんか、楽しい話題はないの?」と言い合ってます。だって、口を開けば、どこそこのカンパニーで陽性者が出て公演が中止になっただの、誰々がとうとう演劇の仕事をあきらめて故郷に帰っただの、暗い話題しかないので、なんとか楽しい話題を話そうとしてるわけです。  稽古場に行くまでの信号が全部青で、一度も信号待ちをしなかった、なんてレベルでも「それは良かったねえ。人生もまんざらでもないよねえ」なんて言い合ってます。  さて、毎年、一年の最後の原稿は、江戸風俗研究家だった故・杉浦日向子さんから教えてもらった「七味五悦三会(ひちみごえつさんえ)」に関してです。  この連載を、毎週読んでいるだけではなく、単行本になった『ドン・キホーテ笑う!』(論創社)を買ってくれている人は、もう知っているでしょう。  江戸時代、庶民は除夜の鐘を聞きながら、その年に初めて食べた美味しいもの七つ(七味)、楽しかったこと五つ(五悦)、その年に初めて会って嬉しかった三人(三会)を話し合い、「七味五悦三会」が全部あったら、「今年は良い年だったね」とお互い喜び合って大晦日を過ごしたのです。
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思わず考え込んでしまう、楽しかったこと五つ
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