ホテル業界を悩ませる“招かれざる客”たち。リモート応援プランで急増
コロナによって苦境に立たされたホテル業界が切り拓いたリモート応援プラン。新たなホテルの使われ方として定着しつつあるが、迷惑客に頭を悩ませるホテルは多いという。大阪の繁華街にあるホテルに勤務する山北利恵さん(仮名)に話を聞いた。
「年が明けてから訪日の観光客が全滅。緊急事態宣言で出張&日本人観光客が消えて追い打ちを掛けられました。あの頃は悲鳴というかぐうの音も出ない状況でしたね。6月に入ってから、ウチのホテルはリモートワーク対応を打ち出したんです。値段は大阪で主流になっている朝8時~翌日20時までの36時間パックで3000円。これがウケてけっこうな利用者になったんですが、まさか悩みのタネになるとは思いませんでした」
山北さんによると、値段を下げて部屋を貸し出したことでよからぬことをする輩がやって来るようになってしまったのだとか。
「一番多いのは風俗に使う方ですね。リモートで仕事してその合間に……というのが多いんですが、風俗を呼ぶためだけにやって来る方もいらっしゃいます。レンタルルームが2時間で3000円程度らしいので、ホテルのリモート応援プランのほうが断然割安なんですよ。ウチのホテルは部屋のカードキーがないとエレベーターに乗れない仕様なので、皆さん下まで降りてきてコソコソ乗っていきますね(笑)。カップルで泊まられる方も多いし、出張で来られた方はデリヘルなどを呼ぶこともままありますので、コンドームなどが捨ててあることは珍しくないんです。でも、明らかに増えましたね」
従業員にとってはあまり気持ちのいいものではない。掃除担当者からは「ウチはラブホテルじゃねぇ!」と怒りの声が出ているのだとか。
値段を下げたことで客層にも大きな変化があったという。当初はリモートワークに使うビジネスマンが主流だったのだが、値段の安さが評判となり、新たな客層が来るようになったという。
「1泊朝食付きでも3000円程度で泊まれるようになり、連泊すると割引されて5泊で1万円というプランもあったため、お客さんも多様化しましたね。ネットカフェに寝泊まりするよりも安いので、ネカフェから移ってきたと話したお客さんもいらっしゃいます。あとは、西成のドヤ(簡易宿泊所)から移ってきた方も何人かいましたね。泊まる際に記帳した住所に思いきりドヤの名前と住所が書いてありましたから」
とは言え、こうしたところから移ってきた客はトラブルもほとんどないという。
「備品がなくなったなどのトラブルもなければ、部屋を汚すこともありません。基本的に先払いなので、無銭宿泊もないです。お帰りの際に『久しぶりにイイ部屋泊まれて最高だったわ』なんて言われて、ウチなんかごくごくフツーのビジネスホテルなのにこんなこと言われてこっちも嬉しくなるくらいです。デリヘルを呼んで“騒音”の苦情を出してティッシュとコンドーム捨て行かれるお客さんと比べたら、神様ですよ」
リモートワークついでに風俗を呼ぶ客が急増
ネットカフェとドヤからも客が移ってくる
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日刊SPA!編集。SPA!本誌では谷繁元信氏が中日ドラゴンズ監督時代に連載した『俺の職場に天才はいらない』、サッカー小野伸二氏の連載『小野伸二40歳「好きなことで生きてきた~信念のつくり方~』、大谷翔平選手初の書籍となった『大谷翔平二刀流 その軌跡と挑戦』など数多くのスポーツ選手の取材や記事を担当。他にもグルメ、公営競技の記事を取材、担当している
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