更新日:2020年11月17日 09:27
仕事

冬のボーナスは軒並み激減。次は40〜50代の大量リストラだ

無駄に給料が高い中高年社員は大量解雇される可能性も

 年内の失業は非正規雇用が中心だったが、年末以降は正社員にもメスが入ると磯山氏も同意見。 「年功序列は消滅し、営業などの現場だけでなく、バックオフィス系の職種も能力に応じたジョブ型に移行する可能性が高い。その場合、ボーナスも能力に応じた支給額となり、無駄に給料が高い中高年社員は大量解雇されるはず。来年以降、ボーナス支給額が回復したとしても、それを何人受け取れるか、という話です」 [冬のボーナス]激減ルポ ただ、コロナ禍でも大企業の内部留保が12年連続で過去最高を記録したとの報道もある。しかし、「それは労働分配のためではなく、将来の設備投資のため」と関氏。 「多くの企業がコロナ収束後の設備投資による業績回復を考えていますが、問題は企業の体力が持つかです。ANAやJALは社員を異業種に出向させる方針ですが、全員戻れるかは未知数。また、世界的に電気自動車に舵が切られていますが、部品が少ないので、仮にトヨタが全面的にシフトしたら、城下町の部品メーカーなど雇用に与える影響は計り知れません」
[冬のボーナス]激減ルポ

「リーマンショック時には、アパホテルが値下がりした土地を買い、業績を伸ばした過去がある。今、大手企業は内部留保を蓄積し、コロナ収束後の投資を窺っている段階」(関氏)

失業後の受け皿減で苛酷な未来が…

 では、’21年に起こりうる最悪のシナリオとは? 「以前から後継者不足で中小企業は大廃業時代を迎えると言われていましたが、コロナによる倒産も加わることで、失業後の受け皿が減ってしまう。ただ、外国人労働者不足で困っている現場はあるので、彼らの代役として、同じ待遇なら雇用はあるかもしれません」(関氏)  ボーナスカットよりも苛酷な未来。「新しいビジネスモデルや付加価値を提供できなければ、いつ失業してもおかしくない。他人の懐具合を覗いて溜飲を下げ、これまでと同じ働き方をしているようでは、とても生き残れません」(磯山氏)との言葉を胸に刻んでおこう。
『経済界』

『経済界』2020年12月号

【『経済界』編集局長・関 慎夫氏】 経済記者として活躍。経済誌『BOSS』を発行する「経営塾」の編集長・社長を経た後に現職。日本経済界はもちろん、多数の日本企業の動向を長年にわたり取材。
磯山友幸氏

磯山友幸氏

【経済ジャーナリスト・磯山友幸氏】 日経新聞で多数の支局長を務め、『日経ビジネス』副編集長・編集委員を経た後に独立。近著に『観光ビジネス大崩壊』(共著・宝島社)などがある。
鈴木剛氏

鈴木 剛氏

【東京管理職ユニオン執行委員長・鈴木 剛氏】 全国コミュニティ・ユニオン連合会会長などを兼任し、労働問題に携わる。著書に『中高年社員があぶない』(小学館101新書)、『解雇最前線』(旬報社)などがある。 <取材・文・撮影/冬のボーナス取材班> ※週刊SPA!11月17日発売号の特集「[冬のボーナス]激減ルポ」より
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週刊SPA!11/24・12/1合併号(11/17発売)

表紙の人/ 中条あやみ

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