カーライフ

クルマの電動化や自動化はどこまで進んだのか? 2020年を振り返る

電動車が身近になった年

 一方で今年は電動車が身近になった年でもあった。けん引するのはマイルドハイブリッドとプラグインハイブリッドの2つのハイブリッドだ。  前者は、言葉通り穏やかな性能向上のためのハイブリッドで、エンジン直結の発電と駆動を受け持つ小型モーターと、小容量バッテリーで構成される。減速時に回生(発電)してクルマが使う電気を溜めたり、溜めた電気でモーターを駆動しエンジンを手助けしたりする。10%程度だが燃費数値も改善するが、本当の狙いは別にある。  欧州や北欧、中国、北米、そして日本でも叫ばれるようになった内燃機関、つまりガソリンや軽油だけで走る新車の販売規制・禁止論に抗う苦肉の策でもあるのだ。小さいけどモーターやバッテリーを積んでいると「電動化車両」に分類されるからだ。もっとも、こうした仕組みを採用するハイブリッド車を法で縛る地域が増えれば、いずれ消えゆく運命にはある。  後者は、大容量バッテリーを搭載して外部から給電できるハイブリッドだ。例えば、今年発売されたプラグインハイブリッド仕様のトヨタ「RAV4 PHV」は、すぐに品切れになり、生産も一時停止のままだ(12月9日現在)。  この生産一時停止の背景には、バッテリーの正極材料であるリチウムの確保が難しいということがある。レアメタルでは同様にニッケルもそうだが、数年前から世界中で争奪戦が続いている。そのためトヨタは、将来的に役目を終えたハイブリッドカーが積むニッケル水素バッテリーからニッケルを抽出して再利用するという。  実際に運転してみると電動車は楽しい。ためらうことなく受け入れたいのだが、まだまだ法規制や原材料確保が難しいといった高いハードルが立ちはだかっている。そのため’21年は、内燃機関と電動化の共存点の模索が本格化する。来年のCOTYでは、コロナ禍が収束し、自動化や電動化が進んだクルマに出会える機会が増えることを期待したい。

【筆者の配点】

 2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤーの筆者の配点は、スバル レヴォーグ10点、ホンダ フィット7点、ランドローバー ディフェンダー4点、トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス2点、アウディe-tron Sportback2点だった。
オートクラブ

2位 ホンダ フィット 320点

====== <2020-2021 日本カー・オブ・ザ・イヤー得点表> 1位 スバル レヴォーグ 437点 2位 ホンダ フィット 320点 3位 トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 300点 4位 プジョー 208/e-208 141点 5位 ランドローバー ディフェンダー 105点 6位 アウディ e-tron Sportback 65点 7位 マツダ MX-30 63点 8位 アルピナ BMW ALPINA B3 25点 9位 BMW 2シリーズグランクーペ 24点 10位 ニッサン キックス 20点 ※COTYの選考結果については、COTY公式サイトで確認できます。

2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー『スバル レヴォーグ』

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今年のCOTYはレヴォーグ!

 新開発1.8L直噴ターボエンジンや大型センターインフォメーションディスプレイを搭載し、高度運転支援システム「アイサイトX」設定車でも317万円~とコストパフォーマンスが高い。
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