仕事

会社が推進するDXチームに参加。休日返上で働いて人事評価はマイナスに

社長が飲みの場で知り合った謎のコンサル会社に委託

悩み その一方で、予算や気持ちはあるが、“無知”に漬け込まれてDX化が暗礁に乗り上げたという事例もある。東京都内の一族経営の会社に勤務する藤吉愛美さん(仮名・40代)が、その一部始終を話す。 「上から、私を含めた下っぱまで、とにかくITスキルがゼロに近かった我が社。会社のPCの選定から購入、セットアップ、社員用のスマホまで、業務に必要な全てのことを外部に委託していました」(藤吉さん、以下同)  DX化の流れを受けて、今回も外部にアドバイスを求めたというが……。 「企業のDX推進のサポートを謳うコンサルティング会社に依頼したというのですが、その会社は、うちの社長が飲みの場で知り合ったとか。会社名で検索しても情報が出てこないし、一部の若手社員から『なんか怪しい』という声も上がっていたのですが、上の人たちは『知らないことには口出しするな』と相手にしてくれなかった」

“無知”に漬け込まれた結果…

 結局、「コンサル」の名のもとに、全社員に海外製タブレット(1万円相当)とPC(5万円相当)、モバイルルーターなどが配布されたが、いずれもどこから持ってきたのか定かではない、1年以上前に発売された型落ち品。  オンライン会議用にビデオチャットソフトなどが入っていましたが、全てフリーソフトでお金がかかっている感じもしない。いくらなんでもおかしいと私たちが声をあげましたが、もう遅かった」  すでにお察しの方もいるだろうが、このコンサルを名乗る会社から、いいようにやられてしまったのである。  社員に配布された物品の代金の3倍以上を支払っていたが、肝心のコンサルを受ける前に相手と連絡がつかなくなった。DXのように世間的な「大きな流れ」が生まれたとき、必ず登場するのが詐欺師だ。 「今じゃ、DXのDの字でも出そうものなら、社長が激怒するほど。もはや誰も語ろうとせず、以前通りに仕事をしています。いや、低スペックのPCで仕事をしないといけないので、以前よりパフォーマンスは下がったかも……」  実際、少なくない現場で名ばかりの「DX化」が進み、社員を疲弊させている現状があるのだ。<取材・文/山口準>
新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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