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PTAがツラい…。子供のための活動なのに、組織に振り回されて

学外の活動も加わり負担は増す

 PTA活動は、すべての子供たちのための社会教育活動とされている。組織としては大きく、日Pと呼ばれる「公益社団法人日本PTA全国協議会」があり、全国の都道府県に設けられたPTA協議会・連合会が正会員として加盟している。ただし、各学校のPTAがこうしたPTA協議会・連合会へ加盟するか否かは任意である。  実はPTAはこうしたPTA協議会・連合会を頂点にしたピラミッド型の巨大な組織として成り立っているのである。PTA活動をしていると、本部役員が「都小Pの〜」などと話しているのを耳にすることもあるかもしれない。本部役員になると、PTA協議会・連合会の仕事をすることも出てくるため、活動は学校内に収まらなくなってくるのだ。  ちなみに、このPTA協議会・連合会に加盟していることで、どんなメリットがあるのだろうか。地域によって異なるが、この協議会に参加していることで、スポーツ大会に出席できて粗品がもらえるとか、観劇などのチケットがもらえるなどの特典があったりする。だが、それも平日の日中の時間帯に設けられていることが多く、定員割れを起こすことも多々あるのが現状だ。特典とはいえ、人数集めが必要なありがた迷惑な存在になっているのも否めないのである。

PTAをなくしたら意外なところから反発が……

 労多くして実り少ない状況に疑問を持った某地域の小学校PTA役員は、協議会からの脱退を検討した。当時、副会長職に就いていたMさん(45歳)はこう話す。 「仕事量が多いため、特に本部役員のなり手が見つからず、毎年とても苦労するんです。学校内のPTA活動と違って、本部は学校外に出て行くことも多いので、『自分の子供のためなら』という気持ちにもなりにくいんですよね。そこで、本部役員から疑問が出たんです。そもそも、PTAって“子供のための活動”じゃない?って。なんで、組織に振り回されなければならないんだ?って」  なんと、本部役員自体が、PTAの存在に疑問を持ったというのだ。 「子供のためのお祭りを自主的に企画するなど活動自体は活発だったんですよ。だから逆に、『親子が笑顔で育児ができる状況じゃないとPTAって意味ないよね』と本部役員で意気投合するようになったんです。  そして、みんなが嫌だ嫌だと役員を押し付け合うのではなく、本来のボランティア精神をもとに、子供のために何かをしたいと思う人たちが集まって何かをする父母の会に変えたいと、一度、協議会から脱退しようと決意したんです」  1〜2年かけて本部役員は深く話し合い、いざ、協議会からの脱退を申し出たところ、意外なところから反発があったという。 「10年前、20年前にPTA役員をしていたOBやOGが『なんてことをするんだ!』と文句を言ってきたんです。子供が成人してもなお、地域事業と称して、PTAと関わり続けるOBやOGは、それこそPTA大好きな人たち。ストレートにいえば、PTAという枠組みの中で、お友達や居場所を作りたい人たちなんですよ。  彼らは、『古き良き伝統を絶った』『とんでもないことをする』と感じたようです。なぜ脱退に至ったのかというこちらの説明も聞きやしない(苦笑)。結局、数年後に新しい役員たちは再び加盟することにしたようです。まあ、その頃は、私も子供が卒業していたので、もうPTAとは関わりがない状況だったんですけどね」  組織を変えるのも難しい、変えたとしてもまた元どおりになる可能性がある……。煙たい存在であるPTAが大きく変わるのは、一体いつになることか。 <取材・文/中山美里>
フリーライター。性風俗、女性問題、金融犯罪などを中心に執筆。未婚で1児を出産後、結婚。3児の母。愛人に走る女性をルポした『副業愛人』など著書多数。女性のお金や生活事情に関するルポ、詐欺事件を多く扱う。性とお金に対する欲望と向き合う人間をフィールドワークし、取材執筆を続けている。日本プロダクション協会の監事も勤めている
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