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借金500万円男、カード会社と和解。ギリギリの交渉の中身とは…

裁判が行われるまでが勝負

 まず、裁判所に日程の変更を申し出ても意味はない。相手との合意があったとしても、裁判所は動かない。当日までに進んだ話で裁判がされるだけだ。当人がいなければ電話で出廷することも可能だが、高卒で信用情報が真っ黒な人間が働けるような職場にそんな電話を許してくれるような甘いところはない。 「休まない・遅刻しない」  たったこれだけが我々最後の底辺労働者に残された僅かな信用情報で、それは自宅の住所や口座情報よりも重い。働かされているのではない。働かせていただいているのだ。  実は、こうして支払督促や訴状が届いてから裁判が行われる当日までの期間が一番話が進むと思っている。なぜならこうした立替金請求事件の答弁書には必ず 「分割払いを希望します」  という欄があるからだ。それまで何度電話をしても分割払いに応じなかったカード会社が、ここにきて多額の遅延損害金の請求をセットにすることを条件に分割払いを考えてくれる。  一応「私の言い分は次の通りです」という欄があり、そもそも借金をしていないと大騒ぎすることもできるのだが、今回は僕が金を借りた時に書いた契約書の写しまでセットで届いてしまった。  まず、この答弁書を作成して裁判所に送付する。そしてその後に原告に電話をして、出廷できない事と、分割の話をする必要がある。出廷できない場合の被告の立場は限りなく弱い。口座の差し押さえはまず間違いなくされてしまうだろう。 「支払督促が届いたのですが」  安心して欲しい。もう裁判を目前にした場合の電話で大きな声を出されたりはしない。 「事件番号を教えてください。」  カード会社も対応には慣れている。 「当日出廷できないので電話で和解を進めたいのですが」  通常の督促電話とは違う担当者が対応するためか、ここのやりとりはかなりスムーズに進む。僕は現在他のカード会社にも返済をしている旨と、分割での希望金額を伝える。

自分の債務情報が霧が晴れたように……

 決まった職場がなく、月収が20万円から40万円くらいの間を行き来している生活の中で、確実に毎月払える金額は10万円が限界だった。和解は「もう二度と支払いを遅延しない」が条件になるので、金額に関しては慎重にならなければならない。返済の意思があるならば、ここがおそらくラストチャンスだ。 「大体どこも同じだと思うのですが、分割の限界は60回払いです」  まだ3社しか経験していないので絶対とは言い切れないが、和解のスタートラインはこの分割60回払いから始まる。30万円なら月に5,000円。リボ払いよりも安い。ここがカード会社が提示する最終防衛ラインだ。僕の現在の借金総額は約420万円なので、全てのカード会社と和解を結べば月の支払い総額は約7万円となる。これは東京でなら日雇いを常に探し続ける生活でもギリギリ払える。  そして、毎月の支払いが約束されている状態なので総額も出る。訴状や督促が来る前は会員情報が削除されていて自分の支払う総額がわからなかったが、ここへ来て霧が晴れたように自分の債務情報が明らかになっていく。
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僕は成功例ではない
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フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。 Twitter→@slave_of_girls note→ギャンブル依存症 Youtube→賭博狂の詩

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