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コロナ禍以前の生活を、どれほど覚えているか?/倉山満

コロナ禍以前の生活を、どれほど覚えているか。もはや、風化している

 話を戻す。現在、我々はコロナ禍にある。そして、国家経済そのものを止めてしまう、緊急事態宣言を4度も行い、社会全体でマスク生活を行っている。  去年の2月までは、誰もマスクなんてつけていなかったのを、どれだけの人が覚えているだろうか。そして、1回目の緊急事態宣言が、どのように行われたか、覚えているだろうか。それどころか、コロナ禍以前の生活を、どれほど覚えているだろうか。もはや、風化している。  そこで昨年の1回目の緊急事態宣言が行われた際、私はあるプロジェクトを立ち上げた。  私は救国シンクタンクという研究所の理事長兼所長をしているのだが、そこに、プロジェクト「緊急事態宣言発令の参考となる資料の公文書化」を立ち上げ、特に「インターネット上に残る私文書」を収集することとした。なぜか。公文書には保存規則があるし、図書は原則として国会図書館に保管される。一方で、私文書は散逸しがちであり、インターネットでなされた発言は時間がたてば消えるものが多い。

なぜ緊急事態宣言は発令されたか、誰が世論や政策に影響を与えたか

 しかし、そのようなネット上での発言こそ、政策決定に大きな影響を与えた場合も多いのは自明である。現に多くの論者や要路者が多くの発信を行い、世論形成に影響を与えた。だから、(結果的に1回目となった)緊急事態宣言に影響を及ぼした人物の、「インターネット上に残る私文書」の収集を行った。その人たちがどのような発言を行ったか、あるいは行っていないか自体を保存する作業である。これを怠れば、後世の人々は政策が正しかったのか否かを検証できない。  その人物の選定は、私が行った。公人では、4人。小池百合子東京都知事、吉村洋文大阪府知事、加藤勝信厚労大臣(当時)、西村康稔コロナ担当大臣である。両知事は感染拡大の中心地にあり、発信力は絶大。両大臣は、担当者である。異論はあるまい。ちなみに、加藤大臣は私的な発信は一切行わなかったのに対し、西村大臣はツイッター・フェイスブック・ブログなどで積極的な発信を行っていた。
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「何もしないと42万人が死ぬ」発言を覚えているか?
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