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悩める10代のサードプレイス?歌舞伎町にたむろする“トー横キッズ”の正体

トー横が悩める10代のサードプレイスとして機能

ぴえん

イラスト/ツヅキエイミ

「ここには救いがあるかもしれない……。そう考えてやってくる若者は多い」  そう語るのは、元トー横キッズのバーテンダーだ。複雑な家庭環境、不登校、単純に友達がいないなど、“生きづらさ”を抱える少年少女たちが、SNSに投稿される“楽しそうなキッズ”を見て救いを求めてやってくる。私はトー横が10代のサードプレイスとして機能していると考えている。  バーテンダーの話ではこれまで訪れた人数は、全体で数百人規模に上るという。なかには12~14歳の中学生もいるというから驚きだ。中心メンバーがSNSに「集合!」の合図をかければ、彼らはすぐに数十人は集まってくる。  路上でみんなで踊る、でんぐり返しをする。ハイテンションに「アゲ~~~!」「マジで死ぬが~~~!」「パキるが~~~!」など“キマった”狂乱の様子をTikTokに投稿する。  16歳の少女は「私は未成年だから、嫌なことがあったときにお酒の代わりにリストカットしちゃうんだよね」と話し、腕から太ももに至る無数の傷痕を照れくさそうに見せてきた。  当然、警察官もやってはくるが、歌舞伎町という街では権限ないのか“注意”程度で帰り、また彼らは騒ぎはじめるのだ。

12歳の少女が“推し”に貢ぐために売春をする

 路上で騒ぐだけが、彼らの問題ではない。援助交際を行っている未成年や、管理売春に巻き込まれている少女もいる。中年男性から「君いくら?」と尋ねられ、そのまま一緒にラブホテル街に消えていくのも、彼らのまた日常だ。  中心メンバーの一人である20歳の青年に好意を抱いた当時12歳の少女は、好きだと青年に連絡を取ると、「好きなら貢いで」とばかりに金銭を要求。数万円を稼ぐ手段として少女はSNSで援助交際の相手を探し、歌舞伎町のインターネットカフェなどで自身の体を売ったというのだ。  20歳の男は今年5月、別の13歳の少女の誘拐容疑で逮捕される。しかし、トー横界隈にとってはさほど大ごとではないのか、「あいつは児ポで逮捕!」「児ポワロタwww」など仲間を揶揄する投稿を行っていた。
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“カリスマ化”するトー横界隈の中心メンバー
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現役女子大生ライター。10代の頃から歌舞伎町に出入りし、フィールドワークと自身のアクションリサーチを基に大学で「歌舞伎町の社会学」を研究する。歌舞伎町の文化とZ世代にフォーカスした記事を多数執筆。ツイッターは@chiwawa_sasaki

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