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悩める10代のサードプレイス?歌舞伎町にたむろする“トー横キッズ”の正体

“カリスマ化”するトー横界隈の中心メンバー

 当の逮捕された青年も、釈放後に報道された自分の本名のフルネームをハッシュタグにしてTikTokに動画を数多く投稿。反省の色が一切見られず炎上するかと思いきや、コメント欄には「〇〇君(青年の名前)やっぱカッコイイ!」「推しです!」「はやくお金稼いで貢ぎたい」「いくらで会ってくれる?」といった好意的なものが見受けられた。そのコメントの多くが中高生の少女たちだった。  ちなみにこの青年は事件後、歌舞伎町のバーに勤務し、信者による応援で1か月間で100万円の売り上げを達成したという。トー横界隈の中心メンバーは、もはや生きづらさを抱える一部の人間にとって、“カリスマ化”しつつあるのだ。  しかし、青年はまた事件に関与したのか、7月20日以降、SNSに一切の投稿はない。誰も連絡が取れないことから、闇の深さを感じさせる事件となっている。  トー横界隈だけではなく、「ぴえん世代」には自分が応援するいわゆる“推し”に直接金銭を渡すのを生きがいに感じている者が多い印象がある。それを知って受け取る側も「推して!」「お金恵んで!」と気軽にSNSに投稿し、キャッシュレス決済のQRコードを貼りつけるケースは多く見られる。  その結果、誰かを「推す」ために売春行為に手を染める未成年まで存在するのが実情だ。次回は、そうした「推し文化」における闇カルチャーについて解説していく。

「ぴえん世代」新語辞典

・自撮り界隈 「#自発ください」「#裏垢女子」「#108円で売ってたら買ってくれる人RT」「#オシャレさんとつながりたい」などのタグをつけ、自撮り写真と共にSNSに写真を上げる人たちの総称。ネットでつながって実際に会って遊ぶことも。自撮り界隈の人間の掲示板まで存在し、炎上することもしばしば。SNSが母体ながらクローズドなコミュニティが築かれている。 ・トー横界隈に入りたい TikTokで見られるタグのひとつ。歌舞伎町で集まっている彼らが、自分たちのことを「トー横界隈」と名乗り、ハッシュタグをつけて自ら発信した。結果、都内のみならず全国の中高生に広がり、「遠いけどトー横行ってみたいな……」という一昔前の原宿のような現象が。そんなトー横にあこがれた非トー横界隈のコたちが使うタグが、「トー横界隈に入りたい」である。 写真/tsubasa_works12
現役女子大生ライター。10代の頃から歌舞伎町に出入りし、フィールドワークと自身のアクションリサーチを基に大学で「歌舞伎町の社会学」を研究する。歌舞伎町の文化とZ世代にフォーカスした記事を多数執筆。ツイッターは@chiwawa_sasaki

「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認

21歳・現役女子大生ライターが送る、衝撃のデビュー作!

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