更新日:2022年11月18日 20:08
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2021年の“裏流行語”!?「トー横キッズ」とは一体なにか?

事件が絶えないトー横界隈

「ぴえん」という病 トー横にはフォロワー数が数千人を数えるインフルエンサーもおり、SNSに路上で遊ぶ様子や踊る様子を投稿&配信。歌舞伎町の外にまでその認知度は広がっていくことになる。こうしたZ世代の文化の発信地である一方、事件性の話が絶えない場所でもある。援助交際を行っている未成年者や、管理売春に巻き込まれる少女もいる。中年男性から「君いくら?」と尋ねられ、そのまま一緒にラブホテル街に消えていくのも珍しくはない。そしてメディアが取り上げるきっかけとなったのは、2021年6月に発生したホームレス暴行事件にほかならない。  15歳の少年がトー横付近の路上でホームレスの60代男性の頭を踏みつけるなどして暴行。その様子が撮影されており、SNS上で拡散されたのだ。事件があったのは6月だが、同年8月7日のメンタリストDaiGoによるホームレスに対する炎上発言で再び話題になった結果か、少年は傷害容疑で8月23日に書類送検された。しかし、それ以前にもトー横では深刻な事件が発生している。2021年5月11日、18歳の専門学校生の少年と14歳の中学生の少女が歌舞伎町のホテルから飛び降りて死亡したのだ。彼らはトー横に出入りしていた少年と少女で、死ぬ数時間前まで「#数時間後に死ぬカップル」というハッシュタグとともにSNSに投稿を繰り返していた。飛び降りる前に市販薬を過剰摂取してOD(オーバードーズ)状態だったこともわかっている。

トー横から移動したキッズたち

 トー横キッズが一般に認知されて、約1年。そして2021年夏の終わり、キッズたちは新宿TOHOビルの東側路地から、建物を挟んだ反対側の歌舞伎町シネシティ広場に移動した。同時に王と呼ばれていた男性も界隈から消えた。移動の直前にはトー横に自警団のようなものも形成され、周辺をゴミ拾いし、ポイ捨てする少年少女に注意を呼びかけたり、トラブルがあったときに仲裁するなどの役割を担っていた。    移動先の広場だが、もともと新宿・歌舞伎町における路上飲みの聖地として知られていた。隣接するナイトクラブの「新宿WARP」にライブハウス「BLAZE」は泥酔した若者たちに溢れ、その横にはホームレスたちが酒盛り。反対側のアパホテル前には異国の街娼たちも座り込んで客を待っている。  広場のトー横キッズも人数増えすぎたためか、少しコミュニティが分散しているように感じる。初めてトー横に来たと覚しき少女は、複数の集団の間を行ったり来たりしながら、輪に溶け込めてない様子。誰もが楽しめる雑多な飲み場だったトー横は、いつの間にか放課後の教室のようなうっすらとしたグループ分けができていた。近くのゲームセンターのトイレに筆者がいたとき、彼女たちの話し声が聞こえてきた。
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少女たちの新たな居場所
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現役女子大生ライター。10代の頃から歌舞伎町に出入りし、フィールドワークと自身のアクションリサーチを基に大学で「歌舞伎町の社会学」を研究する。歌舞伎町の文化とZ世代にフォーカスした記事を多数執筆。ツイッターは@chiwawa_sasaki

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