カーライフ

まるで加トちゃん? カウンタックのデザイナーが絶賛したワゴンRがリボーン

軽販売台数ナンバー1から転落

 かく言う私は、かつてフェラーリF355とワゴンR(2代目)が並んでいるのを見、「ワゴンRのほうが美しい……」と感じ入った。見る目のある者は皆、ワゴンRを稀代の名車として奉っているのだ。  そんなワゴンRだが、真に輝いていたのは2代目までで、その後は徐々に下降線を辿った。今世紀に入ると、もっと背の高いダイハツ・タントやホンダN-BOXなどが次々発売され、ワゴンRは軽販売台数ナンバー1の地位から転落。究極の無印良品的だったデザインは、徐々にオラオラ度を増し、’17年登場の現行ワゴンRスティングレーは、ついにキャデラックのような顔になった。絵に描いたような堕落……。

ワゴンRは超新星

オートクラブ

ワゴンRスマイル

 ワゴンRは終わった……。さすがにあきらめかけた時、超新星が現れた。ワゴンRスマイルである。  このクルマは、ダイハツ・ムーヴキャンバスの地味な快進撃に刺激され、その対抗馬として誕生した両側スライドドアを持つトールワゴン軽。ワゴンRと言っても実態は「カワイイ系のスペーシア」に近いが、時代の波にやや取り残されたワゴンRにとっては、28年ぶりの大いなるリボーンだ。
オートクラブ

ダイハツ・ムーヴキャンバス

 焦点は「顔」だが、単なるカワイイ系ではなくキモカワイイ系、あるいはカワイイ芸人系とでも申しましょうか? メッキで縁取りされた楕円形のヘッドライトは、かつてドリフの加トちゃんがかけていた牛乳瓶の厚底丸メガネを思わせ、昭和世代の心を打つ。 オートクラブ カワイイ系の軽は、日本の伝統芸能だ。現在も前出のムーヴキャンバスはじめ、スズキ・ラパンなどが根強い人気を保っているが、さすがにオッサンが指名買いするのはキツイ。でもワゴンRスマイルはオッサンでも躊躇なく乗れる!  メインターゲットは女性ドライバーだけど、男もあんまり抵抗なく乗れるセンを狙っている! 顔はお笑い系だが、内装はセンス抜群で質感も高い。ダッシュボードのゴールドの縁取りは、化粧品のパッケージみたいでとってもステキ。オッサンも大喜びである。
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走りのほうは…
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

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