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防衛費の引き上げ、“喫緊の危機”にもかかわらず「5年以内」のおかしさ/倉山満

「なぜドイツが今すぐなのに、日本は5年以内なのか」

 こうした動きに、いつもの野党とパヨクマスコミが「防衛費を増やすなんてやめろ」「周辺諸国を刺激するな」「軍事より外交だ」などと先祖返りしたタワゴトをほざいている。  そんな連中は無視だ。ここで「寝言とタワゴトのどっちがマシか」などとヌルい議論をしている場合ではない。  国民が問うべきは、「なぜドイツが今すぐなのに、日本は5年以内なのか」を与党に糺すことだ。ロシアはドイツにとっても日本にとっても正面の脅威。国際環境の悪化は同じなのだから。  では、自民党の提言は、実現するのか。極めて心もとない。これを政府の意思とするには、財務省が関門だ。さっそくイチャモンが流れ始めている。「ウクライナでは、戦車がジャベリンに撃破されている。ならば費用対効果が悪い戦車はやめて、ジャベリンにしよう」等々。そのウクライナがNATOに「戦車をくれ」と悲鳴を上げている事実を無視して、戦車不要論を振りかざす。防衛予算の査定など、一事が万事この調子だ。

GDP2%など合格最低点。3%でも足りない

 確かに、請求の根拠を一つ一つ挙げねば予算はつかないのだが、総額で「来年からGDP2%」のように決めておかないと、よくできた作文も片っ端から各個撃破されて跡形もなくなる。過去はそうだった。  アメリカが過半数のエネルギーをウクライナに割いている以上、日本は自力で国を守らねばならない。日本は世界3位の軍事大国になっても、両隣が1位と2位、アメリカと中国だ。2%など合格最低点。3%でも足りないくらいだ。  日米安保条約があるからと、安心できる状況にはない。「大国に戻る」との国家意思を示す時だ。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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