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埼玉に住むクルド人高校生の目線で描く、難民申請者の今

進学にも困難をともなう

マイスモールランド

©︎2022「マイスモールランド」製作委員会

――この映画の主人公の高校生のサーリャのように、大学に行ける学力は十分にあるのだけれども、在留資格の関係で困難になってしまうというような方々に遭遇したのでしょうか。 川和田:やはりそういうケースは目の当たりにしました。 難民申請中や仮放免の状態だと在留資格が安定しないので、そのことだけで入学を認めない学校もあります。受け入れてくれる専門学校を必死に探して決める、というケースもありました。 奨学金を取って大学へ入学した方もいます。でも、それはまだごくわずかなケースでその手前でつまづいている方が多いという印象を受けます。 劇中には進学を支えようとする教師も登場しますが、難民申請中の人たちをサポートしようとする日本の人たちのことは、彼らから聞きました。運良くそういう人たちに出会えるかによっても運命が変わってしまうのかもしれません。

期待の先に待ち受けていたこと

マイスモールランド

©︎2022「マイスモールランド」製作委員会

――劇中では、父親のマズルムの難民申請が認められなかった後に収容され、それに伴って子どもたちとの距離が出来ていく様子も描かれています。 川和田:当事者の人たちからヒアリングして作った部分もありますが、見聞きしたニュースや制度を勉強して台本を書きました。 この映画で描いている家族は、政治的な迫害を受けて日本に来て難民申請しているので、祖国へ「帰れない」という事情もあります。 日本は難民条約を批准している国なので、自分たちの置かれている状況をきちんと理解してくれたら、難民として認定されるだろうという期待を持って、日本に来ています。日本はインドシナ難民を多く受け入れて来た歴史もあります。 にもかかわらず、実際に日本に来てみたら、収容されて刑務所にいるような扱いをされてしまった…と感じている人も数多くいると思います。
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「移民」が確実に増え続ける中で
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ライター、合同会社インディペンデントフィルム代表社員。阪南大学経済学部非常勤講師、行政書士。早稲田大学法学部卒業。行政書士としてクリエイターや起業家のサポートをする傍ら、映画、電子書籍製作にも関わる。

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「マイスモールランド」
5月6日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
出演:嵐莉菜、奥平大兼、平泉成、藤井隆、池脇千鶴、アラシ・カーフィザデー リリ・カーフィザデー リオン・カーフィザデー、韓英恵、サヘル・ローズほか
監督・脚本:川和田恵真
主題歌:ROTH BART BARON 「N e w M o r n i n g」
企画:分福  制作プロダクション:AOI Pro. 共同制作:NHK  FILM-IN-EVOLUTION(日仏共同制作)
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
製作:「マイスモールランド」製作委員会
配給:バンダイナムコアーツ
©︎2022「マイスモールランド」製作委員会
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