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日本の運命は参院選で決まる。岸田首相に運命を託していいのか?/倉山満

円安上等! さっさとデフレを脱却すればいい

 軍事力をつけるには、経済力。日本は「経済大国」であって、本物の大国ではない。その経済大国が、もはや30年に及ぶ不況に苦しんでいる。何の取り柄もない国になり下がった。ただでさえ軍事力で劣る中国に経済力で追い抜かれ、知力でもかなわない。さっさと景気回復くらい成し遂げねば、離される一方ではないか。  では、景気回復をさせる方法は何か。今はデフレなのだから、金融緩和を続けるしかない。円安上等! さっさとデフレを脱却すればいい。景気を回復した状態とは、インフレになること。インフレ率2%など最低基準で、アメリカなど10%になりそうだから大変だと大騒ぎだ。まだまだ日本には金融緩和が必要な理屈、算数ができれば理解できよう。さすがに岸田首相も、「悪い円安」「悪いインフレ」などの雑音には耳を貸す気はないらしい。当たり前だ。景気(インフレ率)と支持率は比例する。本当はもっと金融緩和を吹かせていいくらいだが、そこまでは望むべくも無いか。

自公連立に健全な批判勢力が見当たらない

 以上、防衛費倍増にしても景気回復にしても、岸田自民党の一般方向には賛成だが、やり方には不満だ。連立与党の公明党などは、防衛費倍増を隙あらば牽制する。こうした自公連立に健全な批判勢力が欲しいところだが、見当たらない。  野党第一党の立憲民主党は、「防衛費増額などもってのほか」「金融緩和をさっさとやめろ」などと、先祖返りした頓珍漢な批判を繰り返している。共産党と同じだ。だから「立憲共産党」などと、おちょくられるのだ。昨年の衆議院選挙の敗北以来、何の工夫も無く、普通の事を普通にやっていたら、普通に負ける態勢になった。当然だろう。政策はリベラルを通り越してマイノリティー向けに特化しているようだが、ならば野党第一党の地位から去るべきだ。もはや解党するエネルギーすら残っていないとの声も聞くが……。

維新が全国比例で立憲民主党を抜けるかどうか

 比較的元気なのが日本維新の会だ。いきなり野党第一党は無理でも、全国比例で立憲民主党を抜くのは現実味がある。選挙区でも公明党に一泡吹かせるようなら期待が持てる。もっと自民党との対決姿勢を鮮明にしてほしいところだが。  残念なのが、国民民主党だ。政策は抜群に良い。ただ、予算に賛成するなど与党寄りの姿勢を示しながら、求めるトリガー条項の発動(つまりガソリン値下げ)は実現しなかった。「食い逃げ」された格好だ。しかも支持基盤の労組を切り崩された。自民党としたら野党分断に成功した形だ。自公連立にトリガー条項を迫り、賭けに出た格好なのだが、残念ながら敗れた。選挙後には総括が必要だろう。
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ヌルい自民党vs頓珍漢なリベラル
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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