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高齢化で急増中の在宅医療がめざす「患者と家族の幸せ」とは

病院に行かなくても診療は受けられる

エフェメールホームクリニックの梅本一紀院長(右)と筆者

エフェメールホームクリニックの梅本一紀院長(右)と筆者

 日本は平均寿命と高齢化率において、世界一の高齢化社会である。  残念ながら高齢化が進むにつれて、日常生活が制限される不健康な期間である「健康寿命と平均寿命の差」も伸びつつある。そのため人生100年時代を迎えて、医療は患者と家族の生活・価値観・死生観とより密接に関わるようになり、医療の在り方として在宅医療が急激に広まっている。  医療から、介護へ。  治す医療から、治して支える医療へ。  医療施設から、在宅へ。 「私はすべての病院がなくなることを願っています」(フローレンス・ナイチンゲール)

患者の9割が75歳以上、急増する訪問診療

高齢患者イメージ 在宅医療とは、患者の自宅を訪問して行う医療行為を指し、次の3つに大別される。 ①訪問診療:定期的に医師が患者の自宅で行う診療 ②往診:突発的な症状の変化に対して、緊急的に医師が患者の自宅で行う診療 ③訪問看護:主治医の指示のもと、看護師が患者の自宅で行う療養上の世話と診療補助  訪問診療の件数は年々大幅に増えており(2006年:19万8166件/月、2019年:79万5316件/月)、訪問診療を受ける患者の約9割は75歳以上の高齢者である。  そのため、患者は身体的制限やコロナ禍で通院が困難な場合および、自身の症状の簡潔・的確な説明が困難な場合が多いので、医師や看護師が訪問するメリットは大きい。  さらに、医師の訪問からフィードバックを得ると、患者が医師と信頼関係を形成して「薬を飲む」「食べ過ぎない」「運動する」などの必要行動を継続しやすいことも分かっている。  本稿では、僕が顧問を務めるエフェメールホームクリニックの梅本一紀院長を取材し、患者と家族の幸せという観点から、在宅医療という選択肢に迫る。
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自宅が病院になれば、気負わず安心して治療できる
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