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大阪以外の国民に「大阪での改革」はドーでもいい/倉山満の政局速報

大阪以外の国民に「大阪での改革」はドーでもいい

 維新の方針は、「大阪で成功した改革を全国へ」のようだが、果たして大阪以外で受け入れられているだろうか。今回の参議院選挙では京都で強烈な拒否反応を示されたし、東京に大阪市会議員を候補者として送り込み、いずれも議席獲得とならなかった。  あえて言う。大阪以外の国民にとって「大阪での改革」は、ドーでもいいのだ。これは維新の実績を否定するのではない。維新が大阪の政治にかかわる前、「大阪の水道など飲めない」と言われたものだ。大阪出身者が上京して「東京の水は飲める」と喜んでいた。他にも、昔の大阪府大阪市の問題は山とあった。それを維新は改革した。昔の大阪を知る者なら、既得権益者以外、誰でも維新を好きになるだろう。しかし、他の都道府県の住民には関係ない。

「自民党以外の選択肢がほしい」国民の切実な声の受け皿

 ここで問い直すべきだ。本当に他の都道府県に住む国民が、大阪のような改革を期待しているのかを。私は違うと思う。  自民党にも不満がある。だからと言って、まさか立憲共産党に票を入れたくもない。そうした国民の受け皿になっているのではないのか。  維新の二大主張は「大阪で成功した改革を全国へ」と「55年体制の打破」だ。55年体制とは、まさに今の二大政党(と呼ぶのもおこがましい1.5大政党制)の打破だ。維新への期待値が高まっているのは、「マトモな野党が欲しい」「いざとなれば自民党に代われるもう一つの選択肢が欲しい」という国民の切実な声の受け皿となっているからではないか。

維新のいびつな党構造

 だが、地域政党から出発し、多くの紆余曲折を経て、今の党構造は他の党とは極端に異なる、はっきり言えば歪になっている。  政党としての維新は、「日本維新の会」がホールディングスのような形として存在し、大阪維新の会や他の地方の維新の会が横並び、国会議員団も日本維新の会の下部組織、他の「〇〇維新の会」と対等の組織である。  たとえば、政調会長は、日本維新の会と国会議員団の双方に存在して、それぞれ別の人物といったような二重構造である。なにより特徴的なのが、党大会では国会議員も地方議員も対等の一票。大阪の府議と市議の数が圧倒的に多いので、彼らの意向で党のすべてが決まる。今まで、代表選挙が行われたことが一度も無かった。
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今のままでは、もしもの時に大阪市長補佐をする総理大臣が誕生してしまう
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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