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実は誤解だらけの「薄毛治療」…費用、リスク、治療期間を専門医が解説

「薄毛治療をすると男性機能が低下する」は本当か?

治療例

32歳、治療期間:10か月、料金:月9825円(写真提供/Dr.AGAクリニック)

 適切な治療を行えば、発毛を実感する男性が多いとのことだが、気になるのが治療の副作用。「AGA治療には興味があるが、副作用が怖くて手が出せない」という人も決して少なくない。 「副作用はたしかにあります。ひとつは、多毛症です。服薬で頭だけにピンポイントで毛を増やすわけにいかないので、ヒゲや胸毛などの全身の毛が濃くなる方は少なくありません。あと、毛髪のターンオーバーが促進されるので、悪い毛が抜け、一時的な脱毛が起こるケースもあります。確率としては低いですが、胸の痛みや動悸、息切れ、一時的な血圧の低下、むくみ、腹痛などが起こることもあります」  ほかにも気になるのが、「AGA治療をすると男性機能が低下する」というイメージ。果たして医学的な根拠はあるものなのか。 「性欲減退はAGA治療の副作用の例として挙がるのですが、実は薬理作用上は起こらないとされています。ただ、うちのクリニックでもアンケートを実施したところ、患者さんの1.1%程度の方が『性欲減退を感じた』と回答しています。  医学的には服薬が性欲には影響しないはずなので、これはむしろ精神的な不安によるものではないかと考えています。クリニック側が事前に丁寧な説明を行っていれば、精神的不安が取り除かれ、性欲減退を感じる方も減るのではと感じます」

個人輸入の薬には絶対に手を出してはいけない

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44歳、治療期間:7か月、料金:月1万6401円(写真提供/Dr.AGAクリニック)

 また、薬については、昨今海外の発毛剤などを個人輸入で購入し、服用する人も少なくない。だが、坂口氏は「個人の判断で薬を服用するのは危険が伴う」と警鐘を鳴らす。 「AGAの薬に限りませんが、個人輸入の薬の安全性は担保されていません。私自身は、AGA治療で大切なのはカウンセリングを通じて患者さんの状態を適切に確認し、その症状にあった施術を行うことだと考えています。 『安いから』という理由で、海外輸入の薬を飲んでも、薬自体が体質や症状に合わない可能性もあるし、生活習慣や頭皮の状態などが改善していないせいで効果が得られないこともある。ですので、個人輸入の薬に頼る前に、一度きちんとAGA専門外来で診断を受けてほしいと思います」
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