更新日:2024年01月18日 16:01
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笑い飯・哲夫が低料金の学習塾を始めたワケ「未来のために子どもに投資を」

勉強する場を苦痛な場にはしたくない

寺子屋こやや

哲夫がオーナーを務める「寺子屋こやや」。週3回通って月謝は5000円から1万5000円程度とかなり良心的な価格だ

現在、「寺子屋こやや」の指導は大卒の後輩芸人に任せて、自分は投資家的な立ち位置だと語る哲夫。そうなった現在も、たまに塾を訪れる。 「人を褒めるんが好きなので、たまに教えに行ったら、子どもらの間を回って『字キレイやな』と言いまくってます。褒めて、笑かして、やる気にさせて、正解したらまた褒めて。勉強する場を苦痛な場にはしたくないんですよ。それに、学校と家以外の居場所っていいじゃないですか。ちょっと大人になった気がして」 勉強するだけではなく、困りごとを相談できて、居場所にもなる。そんな場所が増えれば、社会のセーフティネットになるかもしれない。 「そうですね。だからこそ、全国展開したいんです。いま『寺子屋 こやや』があるのは大阪だけですが、先生をしていた後輩(ゆでたかの)が、長野県で『住みます芸人』をやっていて。それプラス小屋を借りて、子どもたちに一回500円で学校の勉強を教えているんです。離れた場所でも同じ活動をしてくれている後輩の存在は心強いですね」 なかなか笑ってくれない子どもを相手に、「勉強」というお題で笑いを引き出す方法を考えることで、芸人は話術が磨かれ、自信もつくという。翻って学校の先生は心を病み、1年持たずに辞めていくケースも増えている。 「いまの先生はすぐに叩かれるので、必要な場面で『叱る』こともできない。子どものためにならないので、ウチは『ダメなときはちゃんと叱ってください。大丈夫ですから』と言っています。もちろん信頼できる先生にですが」

子育て世代の読者に伝えたいこと

連載を通して子育て世代の読者に伝えたいことは? 「仕事に育児に忙しくて、日々精一杯という親御さんも多いと思いますし、たまに子供の言動にイラッとするかもしれない。なかには、『いま自分はニュースで見た虐待と同じ感じになってる?』と悩む方もいるかもしれない。 だけど、自分を省みることができるうちは大丈夫、と伝えたいです。自分で何でもしょいこまずに、人に任せたり、塾でも親戚でも近所の人でも、利用できるもんは利用したらいい。 子どもがある程度の年になったら、子どもに頼ってもいい。小学校の高学年にもなると、友達同士で自分がいかに大人かを言い合ったりするじゃないですか。『靴下は風呂場で洗ってる』『朝ごはんのパンは自分で焼いてる』って。自分のことを自分でできるのはカッコいいと教えることも教育ですし、生きるうえで一番大事なことですからね」 次号からは、具体的に悩める親の相談に答えていく! 取材・文/山脇麻生 図版/ミューズグラフィック
’74年、奈良県生まれ。県下随一の進学校・県立奈良高校から関西学院大学文学部哲学科に進学。卒業後の’00年に西田幸治と笑い飯を結成し、’10年、M-1グランプリ優勝を果たす。『がんばらない教育』『えてこでも分かる笑い飯・哲夫訳 般若心経』ほか著書多数

がんばらない教育

格安補習塾を経営する哲夫による画期的な子育て論

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