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ウクライナ情勢に対して“暢気すぎる”日本人がすべきこと/倉山満

ロシアへの経済制裁に応じた国は……

 そこで第四に、中国だ。  ロシアがウクライナに侵攻する前、アメリカは中国を敵視する姿勢を隠していなかった。共和党のドナルド・トランプ前大統領が言い出し、民主党のジョー・バイデン大統領も、この方針を引き継いでいる。しかし、今はウクライナにかかりきりだ。  米欧はロシアへの経済制裁を呼びかけたが、実際に加わったのは、NATO以外では、オーストラリアとニュージーランドの白人諸国、それに日本・韓国・台湾・シンガポールだけだ。東南アジア、中東、アフリカ、中南米で実際の支援に加わった国はなく、中立を保持している。  事実上、アジア太平洋正面は、日本が一手に引き受ける状況だ。そこで岸田首相は慌てて「防衛費5年で倍増」を打ち出し、「下駄を履かせてもらって合格点」のような対策を打っている。

米欧のロシア叩きが強まるほど、中国は笑いが止まらない

 一方で中国は、制裁に苦しむロシアに支援の手を差し伸べ、経済的依存度を高めさせる。外交的には「厳正中立」を保持、侵略国の同盟者の汚名を着ることなく、「中立国の盟主」として世界の多数派を仕切っている。結果、ロシアを制裁している国が少数派となり、恩を着せた。ウクライナで戦争が続き、米欧のロシア叩きが強まれば強まるほど、中国依存が高まる。笑いが止まらないのだ。  こういう状況だから25日、プーチンはベラルーシへの核配備計画を発表した。アメリカにも中国にも自己主張するとの意思表示だ。これまた「プーチンは核を使うか」に関心が強いが、状況次第だ。状況も知らないで予想しても仕方ない。  では、どうするか? 岸田首相の「そこそこの政治」で満足するのか。それとも中国のように、自らの意志と才覚で大国になるのか。  決めるのは我々だ。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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