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「テロリストの主張は仮に正論だとしても認めない」との態度を示すべきだ/倉山満

テロリストの主張は仮に正論だとしても認めない

 木村の動機は、「選挙に出ようとしたが出られなかった」とか。25歳の被選挙権の年齢に達せず、供託金を用意できなかった。選管で刎ねられ、裁判で刎ねられ、二審の判決が出る前に凶行に及んだ。  木村は「若者に被選挙権が無いのは法の下の平等に反する」とか身勝手な主張を訴えたそうだ。笑止。では、赤ん坊に選挙権与えるのか? 憲法は合理的区別を許容していると、誰か教えてくれなかったのか。  ところが、「社会が対応すべきだ!」と言い張る愚か者がいる。今回の事件で日本社会は、被選挙権の引き下げを絶対に行ってはならない。私も被選挙権の引き下げに吝(やぶさ)かではないが、今回の騒動が落ち着く前には議論すらすべきではない。「テロリストの主張は通さない。仮にそれが正論だとしても認めない」との態度を示すべきだ。

山上も木村も可哀そうは理由にならない

 山上にしても木村にしても、可哀そうだからって何をやってもいい理由にはならない。苦しい境遇だって必死にまっとうな人生を歩んでいる人間はいくらでもいる。  本欄は連載第1回から、若者が虐げられている社会に怒りをぶつけてきた。だからこそ言う。絶対に被選挙権の引き下げをやってはならない。  人殺しやテロは不可。可哀そうは理由にならない。こんな簡単な常識が通らない。その結果、何が押し寄せるか、想像力を持て。  小賢しい屁理屈ではなく、大人の常識を持つべきだ。社会が。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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