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「一度舐められた首相」が今後、思うがままの人事を行えるのか/倉山満

日銀人事は今のところ成功させている岸田政権

 ただ、岸田内閣がこれまでやってきたことは、決して悪くない。外形的には。  まずは経済。日銀人事は今のところ成功している。植田和男現総裁も今は「景気回復までは景気回復策をやめない」との政策を続けている。結果、株価は堅調、増税も社会保険料の増額も不要なほど、税収が増えている。それどころか、このままいけば防衛費も増やせるかもしれない。  岸田政権は「防衛費5年で倍増」を掲げ、着手している。ただでさえ周辺諸国の脅威がある上に、ウクライナ事変だ。アメリカがアジア太平洋に関われないならば、日本は自力で強くなるしかない。国際情勢がどのように変動しようと、戦後史を通じてサボってきた宿題をこなさねばならないのは同じだ。今までは日本の大国回帰をアメリカが邪魔してきたが、もはや力に陰りが見えるアメリカの方から「日本よ、自分の身は自分で守ってくれ」と言ってきている状態だ。

国家意志があるのならば、解散でもなんでもやりきればいい

 これを「安倍内閣以上の戦前回帰」と言う人がいるが、ドイツにたとえれば1949年のアデナウアーだ。西ドイツのアデナウアー首相は、「東ドイツを取り返す!」との明確な国家意思を示し、国民も共有した。そして約40年後に実現した。  果たして、今の岸田首相にアデナウアーほどの国家意思があるか。少なくとも、聞いたことが無い。「決まったことだから」「たぶんこれが正解だからやる」は意志ではない。  もし岸田首相が「日本を大国に戻す」との意思を持っているなら、時期ハズレの解散でもなんでもやりきればいい。無いならば、潔く下野すればよい。  我々国民も意志を持ち、国家全体で共有すべきでは?
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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