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「1人転職させて300万円」存在しない“おとり求人広告”で釣る、悪質な派遣業者を追跡

正社員採用なのにフタを開けたら…

 茨城県結城市に住む高村あつしさん(仮名・29歳)は現在、隣県にある車メーカーの工場でライン工として働いている。高村さんはライン工として働く前に、人材会社とのトラブルを経験していた。 「東京都江東区に事務所があるという人材系の会社に応募しました。大手IT企業の営業職として応募したのですが、見事に落ちてしまい。結局、栃木県にある食品工場の経理部として、採用されました」  高村さんは私立大学を中退後、アパレル業界に勤務。その後は4年間、ホストとしてサービス業に従事していた。人と話すことが得意だということから営業職にチャレンジしたいと思い、2021年9月に転職を決意したという。また、「いつまでも夜職を続ける体力に限界を感じた。婚約相手との今後を考えたときに安定した職につきたいと思った」と語る。 「応募したのは渋谷区にある超有名なインターネット企業でした。高卒、未経験でも大歓迎と聞いて僕でもいけるかなと。ところが書類選考で落ちてしまい、結局、案内されたのは工場の経理やマンションの管理人などでした」

派遣社員の扱いで手取り17万円

おとり求人

いつもテンションは高めの高村さんだが、転職事情の話となると…

 その中でも、月給が25万円と一番手取りが高かった工場の経理部に就職した高村さん。正社員としての採用と聞いており、雇用契約書にはよく目を通さず言われるがままにサインしたという。その半年後……。 「契約は更新できないと言われ、クビになりました。フタを開けたら、派遣社員としての扱いで、もちろん賞与なんてでませんでした。また、研修期間を理由に、その半年間で実際に払われた月給は20万円。手取りは17万円程度でした」  怪しいと思って、紹介をした人材企業を調べると「おとり求人」「やばい」「ブラック」などの予測変換が出てきたという。 「会社に電話したら、『努力が足りないのでは。もっと自分のスキルを高めるために色々な経験をしないと』と言われ、『今回は縁がなかった』と一方的に電話を切られました。今回は良い経験だと思って、この状況を飲むしかありません」
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行政も追いつけていない実態
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