バーバータブチのビニールは今…
かつてあった「バーバータブチ」のビニール(当時筆者撮影)
しかし、残念ながら現在はそのビニールさえなくなっていた。
近隣住民によれば、「駐車スペースの邪魔になるからコロナ前にやむなく撤去した」とのこと。以前、訪れた際にビニールを発見したときは、テンションが上がった思い出があるので寂しさを感じた。
ただ、
バーバータブチの店先にあったたぬきの像は、現在、近隣の「理容室ナカムラ」にある。
「理容室ナカムラ」前のたぬきの像
かろうじて、バーバータブチのレガシーは残っているのだ。前出の住民は、キャッツアイの人気絶頂期の様子をこう語ってくれた。
「撮影当時は道に演者やスタッフ、見物人がいて、車が出せないほどでした。
よく前の道を岡田くんやオジー(古田新太)が通っているのを見ましたよ。ファンの方もよく訪れていましたね。撮影時には、ファンが岡田くんの吸ったタバコが落ちてないか探していた、という噂もあったほどです。今ではめっきり観光客は少なくなったけど、たまにキャッツアイファンがチラホラ来ているようです」
バーバータブチだった店舗や、
それに連なるみまち通りの商店はここ10年で急速に閉業、取り壊しが進んだ。当時の写真を見比べてみると、商店街が様変わりしていることがわかるだろう。商店街の道端に、ぽつんとある「オジー像」(レプリカ)が、キャッツアイの痕跡を示す数少ないものだ。
筆者が約10年前に訪れたときは商店街があったが…(当時筆者撮影)
現在のみまち通り。お店はほとんどない
バンビの実家である「中込呉服店」(本来の店舗は「花沢京染店」)も閉業。店頭に掲げられている店名も掠れてしまっている。
現在も営業中だった「ササキスタジオ」
一方、アニの生家として知られる「佐々木写真館」(現ササキスタジオ)は今も営業中。
店先には「田淵公平の墓」が置かれ、店内にもドラマにも登場するキャッツアイメンバー5人が揃った写真が飾られるなど、いまだに聖地として鎮座していた。
ササキスタジオ店先に置かれた「田淵公平の墓」
当時からスタジオで働いているスタッフの女性は、キャッツアイの思い出をこう語ってくれた。
「店舗での撮影時は岡田くんや塚本くんなどが気さくに話してくれました。
観光客が増えたのは映画が公開されてからですね。うちのお店を撮ったり、たぬきの像を撮ったりしていました。ただ、やっぱり10軒くらいあった商店街のお店が軒並み閉業してしまったのは寂しいですね。6~7年前から取り壊しが始まったんです。当時の面影はだいぶなくなってしまいました」
ササキスタジオの近隣にあったバーバータブチは駐車場に、ほかの商店の跡地は更地になっている。他にも商店街の中で営業している店舗は数えるほどで、かなりの寂寥感を覚えざるを得ない。
かつて近隣にあったバーバータブチ。その姿はササキスタジオ所有の写真に今も
ただ、モー子(酒井若菜)が「木更津にもスターバックスができますように」と祈願した神社「八劔八幡神社」はいまだ健在。源頼朝も鎌倉幕府開幕にあたり、神領を寄進したという由緒正しき神社は、当時と変わらず威風堂々とした佇まいだ。
八劔八幡神社