更新日:2023年08月29日 16:24
仕事

“月150万”荒稼ぎした不良高校生が、「未成年のうちに不良の世界から足を洗った」理由

不良の世界にいるのは「前科のつかない未成年まで」

 己の立ち回りひとつで高校生でも高給を叩き出せるきらびやかな世界。だが片口氏はそんな世界に骨を埋めようとは微塵も考えていなかった。 「思えば、私が不良に足を踏み入れたのは意地だったと思います。たった1回の入学試験とはいえ、私は合格が獲れず、その世界で成功できませんでした。再チャレンジも断念せざるをえなかった。だから、別の世界で成功してやろうと考えていました。不良の世界で成り上がり、周囲の学生が手にできない額の金を手に入れることで、自分を慰めていたようなところがあります。だからこの世界にいるのは、前科のつかない未成年までと決めていました」

“制裁”によってパイプ椅子で殴られ、丸刈りに…

 一度踏み入れた世界は、容易に抜け出すことができない。片口氏は会社で意図的に“失敗”を犯すという荒業によって離脱を試みた。 「制裁はかなりのものでした。暗闇に連れて行かれて、パイプ椅子で複数人に殴られ続け、髪の毛はバリカンで刈られ……。頭は割れて血が流れ、顔は腫れ上がって、ドラマや漫画でみる光景そのままだと思います。その後、東京を離れて別の場所で仕事をするという“禊”を経て、無事に退職することができました」  想像を絶する苦痛を伴いながらも片口氏が足抜けしたのは、幼少期の記憶によるところが大きいという。 「私は幼少期を文化レベルの高い地域で過ごすことができました。教養のある人間像というものが、おぼろげにわかったように思います。小学生の途中で引っ越し、転居先の小学校の学力の低さに驚きました。同時に、学ぶことの大切さをはっきりと自覚しました。中学受験を志した根源には、そのこともあるかもしれません」
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なぜ司法書士を志したのか
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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