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「日本で飼育されているジュゴンは1頭のみ」気づいたら“会えない”かもしれない、水族館のいきものたち

長寿で知られるシャチ「水族館の飼育下で寿命が縮む場合も」

[日本からラッコ絶滅]の危機を救え!

写真提供/名古屋港水族館

 自然界では長寿と言われている種も、水族館の飼育下で寿命が縮む場合もあるという。 「例えば、日本の水族館にいるシャチはアイスランドから来た個体と、その子供たちや孫たちを2館に分けています。シャチの寿命は平均50年と言われていますが、家族で生きる海棲生物なので、バラバラに飼育すると早死にしてしまうことが判明しています」  シャチは国内で増やすしかないが、ラッコと同様に水族館では繁殖の難しさがある。 「体が大きく、家族で生活するシャチが健やかに過ごせる環境を整えるだけで莫大なコストがかかってしまう。欧米では、鯨類など大型の海棲生物の飼育をやめる方向に舵を切っている水族館が増えているのが現状です」

「水族館に生物たちが来た背景にも興味を持ってほしい」

[日本からラッコ絶滅]の危機を救え!

※画像はイメージです

 そのなかで三谷氏は「水族館に生物たちが来た背景にも興味を持ってほしい」と語る。 「海棲哺乳類も生態系の一部であり、人間の生活にも深く関わっています。水族館に行く際には生物の魅力に触れながら、生物多様性に対する保全のリテラシーも向上させてもらいたいと願っています」  水族館の人気者が姿を消してしまう危機があることを、一度真剣に考えてもらいたい。
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気づいたら“会えない”かもしれない、水族館の絶滅危惧種たち
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