父からはDV、母からは“菜食主義の強要”…「精神を蝕まれた」アイドルが呪縛から解放されるまで
―[家族に蝕まれる!]―
“世界に違和感を覚える人と共に生きるコミュニティを目指す完全セルフプロデュースアイドルグループ”――地下アイドル『アイドル失格』の公式X(旧Twitter)のプロフィールに書かれた言葉だ。
若さや可憐さを武器にするアイドルのイメージと一線を画し、世の中に媚びない強い意志さえ感じられる。
表現者なら誰しもその裡に耐えがたい葛藤を抱えているが、華々しくステージを舞う蝶たちが見た「違和感」の景色とはどのようなものか。その生き様に迫る。
「両親と暮らした自宅はかなり年季が入っていて、ゴキブリやネズミがよく出ました。部屋も狭いので、私の押入れで寝ていました。鍵も鍵の役割を果たしていないので、誰でも入ってこられちゃうんです。トイレはむき出しの和式。お風呂はついていないので週に2回だけ銭湯に行けました」
アイドルグループ『アイドル失格』のメンバー・ふかあいちえ氏はそう話したあと、「それだけならただの貧乏話で終わるんですが……」と笑った。
これは、貧乏を売りにしたアイドルの話などではなく、都会的で軽やかなその雰囲気からは想像しがたい壮絶な家庭環境を生き抜いた一人の女性の半生だ。
「些細なこと」で暴れてしまう父
癌で入院した母が菜食主義に傾倒していく
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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