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「母親が息子の子どもを妊娠してしまった」障害者専門の風俗嬢が目の当たりにした“障害者と性”の問題

「性」は生きるために必要なことではないのか

 現在、日本では障害者の性に対するサービスは、「余暇」とされ、公的支援の対象にはならない。 「いろいろな自治体に問い合わせたのですが、移動支援(障害福祉サービスのひとつで、ヘルパーが障害者の買い物等に付き添うサービス)で風俗店に障害者の方を連れて行くことはできないんです」  移動支援はあくまでも「生活に必要なことに使われるサービス」であり、「性」は生きるために必要ではないというのが行政の見解のようだ。だが、体にマヒがあったり、手が不自由だったりする障害者は自分でマスターベーションをすることもできない。 「したい気持ちはあるけれど自分ではできない。家族や支援者にも相談できない当事者の方がたくさんいます

利用するまでに半年かかる場合も

介護

※写真はイメージです

 障害当事者からは主に、どんなサービスへのニーズがあるのだろうか。 「デリヘルなので射精介助もありますが、女性の裸を見たことがない障害者もたくさんいます。ですので、多くの方が、女性の裸に触れたい、見たい。女性とお出かけしたり、デートコースとして利用する方もいます」 「性」の形は多様だ。必ずしも射精を伴うサービスをするわけではない。裸になって肌の触れあいがしたいという当事者は多い。小西さんのサービスに申し込むルートは、本人から・障害福祉サービスの世界のケアマネージャーである相談支援員から・親からとさまざまだ。  サービスの前には面談を行うが、当事者の障害の状態や希望を聞くほかにも、相談支援員や他の支援者や親も交えて行うこともある。長い人で、利用するまでに半年ほど時間がかかる場合も。面談でセックスの希望があれば、ソープランドで利用可能か問い合わせを代行することもある。
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強度行動障害者へのサービス提供
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立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1

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