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焼肉食べ放題店の元経営者が明かす、注文されると“苦しい”メニュー。上・中・下の価格帯で店が一番儲かるのは

孤食をターゲットにした「新たな焼肉」スタイル

 最近は1人で焼肉を食べたいといった潜在ニーズを顕在化させた店が店舗数を増やしている。それが東京都を中心に全国86店舗 (24年3月6日付)を展開する「焼肉ライク」だ。  焼肉は1人では入りにくいものだが、その1人客をターゲットにした小型(20坪程度)で効率の高い焼肉店の存在感が出てきた。孤食を好み、気兼ねなく焼肉を食べたい1人焼肉の需要に応えた店づくりで、客席回転率の向上による坪当りの売上・利益を拡大させている。  焼肉ライクは「焼肉をもっと自由に」をキャッチフレーズに、フランチャイズの加盟店を積極的に応募し、多店舗展開をしている。18年8月、東京・新橋に1号店を開店した。生みの親はなんと、牛角の創業者でもある西山知義氏が率いるダイニングイノベーションだ。  店の特徴としては、1人でも気軽に行ける焼肉屋、焼肉のファストフード、自分風にカスタマイズした焼肉を目指し、1人1台の自分専用のロースターを設置し、周囲の目を気にすることなく、自分のペースで焼肉を堪能できる店づくりにしている。

「焼肉ライク」人気の要因とは

 焼肉ライクの想定客単価は、時間帯にもよるが、昼が1100円、夜は1500円。滞在時間は25分で「低単価、高回転」を徹底した新たなビジネスモデルが、加盟店希望者には魅力のようだ。競争相手は焼肉店だけでなく回転寿司なども視野に入れており、今後も顧客動向を注視しながら、さらに磨いていくだろう。  新業態が一過性のブームにはならないための工夫もされており、例えば、肉の部位が50グラム単位で選べるカスタムメニューや店舗推奨メニューの組合せなど、飽きのこない仕掛けで再来店を促すなど、永続的価値の提供に努めている。  焼肉ライクは、①誰に気兼ねすることなく、1人で焼肉を食べたいという潜在ニーズを満たしている、②あまり時間がない時でもさっと食べられる、③自分好みで、自分のペースで自分が焼いた肉を誰にも取られることなく堪能できる、④手軽な価格で焼肉をお腹一杯食べたいといったお客さんのニーズに適合させているのが人気の要因である。  焼肉ライクの出現により、同じようなコンセプトの1人焼肉店をあちこちで見るようになった。単身者世帯の増加でさらに成長するか。
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今後の焼肉業界の動向はどうなる?
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飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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