更新日:2024年03月24日 15:52
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寝ない人は短命!? アリの生態には「働き方を見なおして幸せになるヒント」がつまっていた

不妊である働きアリの存在価値

働かないアリ過労死するアリ

ハキリアリ

 ただ、一方で思う。たとえば、百億年後、太陽が燃え尽きこの環境が維持できなくなる日をゴールに生物が命をつないでいこう、という時。1000億世代でゴールまでつなぐのがいいのか、100世代でつなぐのがいいのか、あるいは1世代でゴールに到達するのかは実は生物にとって重要な問題ではない。  寿命が短くなることは「悪」というわけではなく、命のバトンをなんとかつないでいく、それが重要なのである。  ただ、命をつなぐことが重要だからといって「子どもを残せない個体には意味がない」などと言うのは、まったくのトンデモ話であり、世迷言だ。耳を貸さなくていい。  昨今、老齢の政治家が少子化を憂いながら、女性を蔑視する表現として「子どもを云々」といった発言することがある。その背景として生物学を持ち出すことがあるのだが、大変迷惑だ。  ほとんどの場合「働きアリ」は不妊で直接は子どもを残せない。にもかかわらず、この地球上に長く、太く存在し続けている。それが答えだ。  僕らは子どもを持とうが持つまいが、この地球上に生まれた瞬間に生物としての役割は十分に果たしている。あとはできる限り生きていければ、おつりがくるほどの素晴らしい達成なのだ。

働きアリの法則について再び

 ビジネス系啓発本でよく引き合いに出される「2:6:2」の働きアリの法則。今さら説明する必要もないだろうが念のため解説しておくと、以下の三つがこの法則のポイントとなる。  集団の中では、「よく働くアリ」が2割、「そこそこ働くアリ」が6割、「あまり働かないアリ」が2割という分布になる。 「よく働くアリ」の集団、あるいは「よく働かないアリ」の集団に分けると、そこでも、やはり、2:6:2の割合で、「よく働くアリ」「そこそこ働くアリ」「あまり働かないアリ」に分かれる。  サボるアリも決して「悪」ではなく、不測の事態が起きた時の「遊軍」として意義がある。
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「2:6:2」の法則がすべてのアリに当てはまる訳ではない
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働かないアリ 過労死するアリ 〜ヒト社会が幸せになるヒント〜 働かないアリ 過労死するアリ 〜ヒト社会が幸せになるヒント〜

アリ語を研究する「アリ先生」による
面白すぎるアリの世界

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