更新日:2024年04月09日 14:27
仕事

「警察から電話が…」発注ミスした新入社員“責任感の強さ”が裏目に出た驚きの事態

「気にするな」と言ったのですが…

数量間違いと言っても、材料の個数を10個と入力するところを100個と入力したわけで、それほど日持ちのする材料ではありませんでしたが、貴重な経験にもなったので『気にしなくてよい』と伝えました。しかし、杉下くんにとっては大きな問題だったようで、かなり落ち込んでいる様子でした」  責任感が強い杉下さんは、寛容な岡崎さんの言葉に全く甘んじることなく、超過仕入れの材料と、予備ストックの生地を使用して、イレギュラーサイズの焼き菓子を担当スタッフの協力で製造してもらい、自ら軽貨物のレンタカーを借りて自宅近くにあるタワマンの敷地で販売することをたくらみます。 「杉下くんが、余剰在庫でミニサイズの焼き菓子製造を行うことは事前に許可したのですが、それを自ら販売しようと出向いたことは後で知ったんです。彼の性格からしたら無理もないと思うのですが、それよりも、入社間もない彼に重荷を背負わせた自分にかなり負目を感じていました」  

嫌な予感が的中し最悪の事態に

落ち込むビジネスマン 杉下さんは、わざわざ有給を消化して移動販売に出向いたわけですが、事後報告を受けていた岡崎さんには、他にも心配事があったといいます。そして、それは的中することになります。 「警察から電話が入ったんです。嫌な予感が的中しました。電話の内容は、当社の社員が無許可で菓子の移動販売を行っているというものです。幸いなことに、実際には販売を開始する直前だったことと、所轄の警察署に私が出向いて経緯を説明したこともあり、指導を受けただけで済みました」  食品の移動販売には、保健所への届出が必要なことなど知るよしもない杉下さん。度重なる自分の失態に涙を浮かべて謝罪したそうです。  「かなり落ち込んでいる杉下くんを目の当たりにして、僕のほうが心配になってきたんです。彼のことだから、また思いつめて何かしでかしそうで……。とにかく『君には責任はないから、気にしないでくれ』という趣旨の言葉をしっかり伝えました」
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救いとなった先輩の言葉
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愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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