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「腐敗した体にウジ虫が…」夏場に孤独死した78歳の父。1か月放置された“アルコール依存と認知症”の最期

ふらりと現れた父がくれた5万5000円

田口ゆうさん介護

存命中の父

 筆者を他人と間違うこともあり、「本当にご親切に。ありがとうございます」と深々と頭を下げることもあった。過去の出来事を許せそうなほど、おだやかな日々が過ぎて行った。失禁等があったものの、父は筆者宅にも孫の顔を見に通う程度には、元気だった。  2024年7月15日、自宅に父がふらりと現れた。認知症になってから、父が筆者宅にアポなしで訪ねてくることは何度かあった。その時はいきなり「貯めたんだ」と言い、5万5000円を差し出してきた。  父の退職後に、お金の無心をされることはあっても、お金をもらうことは少なかった。ラッキーストライクを吸いながら、孫の運動会の動画を観て、「見に行きたかった」と言う父の表情は、とても幸せそうだった。最後に「今後の人生、男にだまされないように気をつけなさい」の一言を残し、父は帰宅した。

警察からの電話と事情聴取

 2024年8月10日夜、知らない番号から何度も着信がある。下四桁は「0110」。あとで警察官から「警察署の電話の下四桁は0110ですので出てください」と言われるまで、知らなかったが、警察署からの電話だった。無視していると、22時に警察官が訪ねてきた。 「お父さんが自宅で亡くなっていました。死後、時間が経っているので、腐敗した状態です。事件性はないと思いますが、事情聴取させてください」と父の死を知らされる。  筆者は7月17日に、父に5万5000円のお礼の電話をしているが、その時には、電話はつながっていない。その後、1日2回ほど安否確認の電話をしているが、この暑さだし、そろそろ様子を見に行こうと思った矢先の出来事だった。  今は戸籍謄本も電子化している。筆者は離婚後、父と分籍しているが、母も姉も同様だった。身元を確認できるものがなかったため、警察の取調室で、DNA鑑定をすることになる
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変わり果てた父との対面はできず
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立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1

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