大雨で密閉されたタクシーは“耐えられない悪臭”だった…「次の被害者が出ないように」乗客がとった行動
現代社会にはさまざまなハラスメントが存在します。日本においては、1980年代後半から「セクシャルハラスメント」という言葉が広まり、その後「パワーハラスメント」や「モラルハラスメント」など、多様な形態が見られるようになり、実際の発生状況も広範囲にわたるようになっています。
ハラスメントは、元々「嫌がらせ」や「いじめ」を指す言葉です。(厚生労働省/管理職向け研修テキストより)しかし、近年では「マタニティハラスメント」や「モラルハラスメント」といった新たな形態の報告が増加しており、時にはハラスメント対策を逆手に取る「ハラスメントハラスメント(通称「ハラハラ」)」も現れるようになっています。
今回取材に応じてくれた石黒さん(仮名・31歳)は、自身がタクシーの車内で受けたハラスメントの種類は「スメルハラスメント(通称:スメハラ)」であったと語ってくれました。
その日は、クライアントとの打ち合わせのため、府中にあるオフィスへ向かう予定だった石黒さん。しかし、京王線で人身事故が発生したため、タクシーを利用し、新宿から首都高4号新宿線を使って移動することになったそうです。
「昼食を早めに済ませ、余裕を持って会社を出発したものの、運悪く人身事故に遭遇してしまいました。重要なクライアントとの打ち合わせが控えていたため、遅れるわけにはいかず、上司の許可を得て新宿南口からタクシーを利用することに決めました」
梅雨の真っ只中で、午前中は雨が止んでいたものの、再び降り出したため不快感が増す中、不運にも、エアコンの効きが悪いタクシーに乗り込んでしまった石黒さんは、その後、あいにくの大雨によるスリップ事故に遭遇し、首都高に入るとすぐに大渋滞に巻き込まれたといいます。
前方の電光掲示板に”調布5キロ”の表示を見た石黒さんは、再度クライアントに遅延する旨を伝えると、「社内ミーティングを先に済ませるから焦らずに」という返事を受け一安心。しかし、次なるアクシデントが待ち受けていました。
「コロナ禍の影響もあり、常時マスク派だった私ですが、クライアントに連絡した後、少しほっとしたのもつかの間、何やら体験したことのない“匂い”が前方から漂ってきたのです。お酢のような鼻を刺す匂いと、何かが腐敗したような不快な匂いが混ざり合っていました」
口呼吸に切り替えても、その悪臭がかすかに感じられ、石黒さんは意識がもうろうとしてきたといいます。
「雨がさらに強くなり、窓を開けることもできませんでした。運転手が効きの悪いエアコンの設定を上げたため、生暖かい風が悪臭と共に後部座席を襲ってきたのです」
もはや打ち合わせどころではなくなり、石黒さんは嘔吐に備えてカバンの中にコンビニの袋がないか必死に探していました。
人身事故で電車をあきらめタクシーで移動
先方へ遅延連絡を入れ一安心もつかの間…
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愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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