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高校無償化は「貧困層だけにデメリットがある」理由。「授業料を払わなくていい」わけではない

さらに広がる経済・教育の格差

さらに格差が広がる さらに、前回の記事で言及したように、中流以上の家庭の子どもたちは、浮いたお金で塾通いや留学をして、さらに格差を広げんとするでしょう。  ちなみに、私が親として予算100万円で大学入試対策をするなら、留学資金に充てます。塾代は高校3年間で累計200万~300万はかかりますが、短期留学ならば一回50万~100万円程度でおさまります。  昨今は総合型選抜(いわゆる推薦入試)が一般入試に代わって入試形態の過半数となるなど盛んであり、留学経験は推薦入試における強力な切り札になるためです。  東京大学の推薦入試は「○○オリンピック予選突破」や「全国○○コンクール優勝」など華々しい経歴が並びますが、見せ方次第で留学経験はこれに並ぶ。

「お金でしか買えない経験」が入試で響くことも

 さて、ひっくり返っても留学ができない子どもたちはどうすればいいのでしょうか? 私のように、勉強の才能があれば、一発逆転を狙って国立大を受験できるかもしれません。  ですが、そこには高校授業料がタダになって浮いたお金でふんだんな教育投資を受けた進学校のライバルたちがワラワラと……。  では推薦入試はといえば、そこはさらにお金がモノをいう世界。才能があれば一発逆転できたペーパーテストと違い、バックボーンとなる経験がなければ、お話にならない。そして金でしか買えない経験が大半です。  この国の教育はどこに向かっているのでしょうか。今更高給取りの知的エリート階層と、低賃金で浅学な労働者階層の二分化を推し進めようとしているのか。
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「大学全入」の幻想に囚われすぎでは
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1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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