仕事

産業カウンセラーが提唱 心が強くなる「呼吸踊り」

呼吸踊り

加藤俊朗氏

 初対面の人と対峙すると緊張し、些細なことで動揺する……そんな小心の自分を変えられるならと、記者T(33歳・女)が期待を寄せつつ取り組んだのが加藤俊朗氏の「呼吸踊り」である。  加藤俊朗氏は、横河電機をはじめ全国の企業などでメンタルヘルスの指導を行う産業カウンセラー。詩人・谷川俊太郎氏が絶大な信頼を置く呼吸法の指導者でもある。 「一日食事しなくても死なないけど、呼吸は10分止めたら死ぬ。生命は呼吸に支配されています。その呼吸に意識を向けて命を生かすのが、僕の呼吸法です」と加藤氏。  確かに、息を止めたら死んでしまいます……。で、具体的には? 「呼吸法で大事なのは“丹田”を意識することと、“吐く”こと。服が汚れたら洗濯するし体が汚れたら風呂に入る。でも、心が汚れても何もしない人が多いんです。“丹田”を意識して息を吐くことで、心のゴミや汚れを落とすんです」  丹田はへそ下約9cmのところにある、いわゆる「肝っ玉」のこと。その丹田を意識した呼吸を習得するための簡単な方法として氏が考案したのが「呼吸踊り」だ。 「丹田は“気”の集まるところ。肝っ玉をつくり足の裏が大地と一体になると、生きるエネルギーを感じ、宇宙の智慧が降りてくる。安心な自分へと変われます」
丹田踊り

「丹田踊り」とセットの「足踊り」。足の裏全体を意識して体重をのせながら足踏みした後は、つま先でのタッチにかかとを意識してのステップなど。大地とのつながりを感じるのがポイントだとか

 踊りは「丹田踊り」と「足踊り」がセットで、一通りやって約5分。丹田踊りは、軽く腰を落として、丹田を意識しつつ腰を右へ左へ。前へ後ろへ。右回し左回し。これを太鼓のリズムにのって繰り返す。  複雑な動きではないが、いざ自分がやるとなんだか滑稽です……。 「カッコ悪いとかに意識を向けないこと。瞬間接着剤で丹田に意識を貼り付けるイメージで、とにかく丹田を意識!」と加藤氏。 「初めはできなくて当たり前。慣れるのが大事です。体の力を抜き、太鼓のビートにのって楽しく踊ってください」との励ましを胸に、いや下っ腹に、DVDを見ながら自宅レッスンを続ける。毎夜、襲いくる雑念と戦いながら意識を集中。5分踊るとけっこう疲れるが、それは体に力が入ってるから? 呼吸踊りはリラックスするための踊りなのだ。寝る前にやると、足の裏がポカポカしてきて、眠りが以前より深い気もする。  日常生活ではというと、例えば、苦手な取材依頼の電話。試しに「丹田丹田」と心で念じながらかけてみたところ、いつもより落ち着いている自分がいる。どう考えても、間に合わないと思った大量の仕事が思いのほか片付いたのは集中力アップのおかげ? ご無沙汰していた人から仕事の依頼がきたのは、加藤氏の言う「宇宙のエネルギーとつながったから」だろうか!?  すべて気のせいかもしれない。  が、テンパったときに「私には丹田がある」と思うと、心に余裕ができる。スッと意識が丹田におさまり、自分を取り戻す感じというか……。いきなり不動の心を手に入れることはできないけれど、自分の「軸」を意識できたのは、私的にはかなりの成果。メンタルが弱いと思う人は、ぜひお試しを。 ・呼吸踊り【STEP1】 腰を軽く落とし、膝を曲げて足首を緩める。これが基本の姿勢。おへその下約9cmの“丹田”を意識し、腰を右に持ち上げる 【画像】はこちら⇒https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=240262 丹田踊り・呼吸踊り【STEP2】 次に腰を左に持ち上げる。右左の次は、前後、右回し、左回しと続く。ゆっくり楽しみながら、意識を“丹田”から離さないのがポイント 【画像】はこちら⇒https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=240261 丹田踊り【加藤俊朗氏】 1946年、広島県生まれ。9/27に『呼吸の本2 呼吸踊り』(サンガ)刊行記念・谷川俊太郎氏とのトークイベントを開催。http://www.samgha.co.jp/ ― [呼吸法]で健康問題の8割は解決する!【2】 ―
呼吸の本2 呼吸踊り

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