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【シカ VS 農業関係者】キング・オブ・害獣! シカ被害で農家壊滅!?

【シカ VS 農業関係者】
キング・オブ・害獣! シカ被害で農家壊滅!?

「奈良公園のシカを見るのもいまいましい限りです!」

そう話すのは和歌山県古座町、鳥獣害防止対策協議会の広報担当者だ。実は、シカは農業関係者の間では「キング・オブ・害獣」として知られている。農林水産省の統計では、シカによる農作物被害額は約58億円(平成20年度)。古座川町でも、柿やナシといった果物がシカに食い荒らされたり、ヒノキの皮を剝がされ商品価値がなくなるなど、その被害は甚大だという。業を煮やした同町では、今年7月から大規模な囲いワナを設置して捕獲に努めているが、その効果のほどはどうなのか。

「正直、かなり厳しいです。柵や網を設けても、シカは3mぐらいの高さだったら、楽に飛び越えてしまうし、網なんて噛み破ってしまいますから」(鳥獣害防止対策協議会の広報担当者)

さらに深刻な事態になっている場所もある。ホンシュウジカの生息北限とされる岩手県の五葉山では、個体数が爆発的に増加。牧草をシカに食い尽くされ、牧場を占拠されたケースもあるほどだ。岩手県農業振興課は次のように話す。

「シカの食害による耕作放棄は牧場だけでなく、一般の農家の間でも起きています。農家は高齢者が多いので、トラブルが続くと耕作意欲を失ってしまう。その意味では深刻どころか、地域の農業振興の危機だと言えます。シカの被害は、一地方自治体ではどうにもならないところまで来ています」

岩手県も対策を講じたが、「柵や網はもちろん、シカの天敵である肉食獣のフンを撒いたり、シカの嫌いな高周波を流したりもしましたが、すぐに慣れて元に戻ってしまう」(岩手県農業振興課)と、ほとほとお手上げ状態。大量捕獲して牧場で食用に飼育しようとしたが、最終的にすべてのシカに逃げられてしまったこともあるという。

前出の古座町の担当者も「根本的な解決策は捕獲して殺処分するしかない」と力を込める。そこで古座町では今年度から300万円の予算を計上し、銃器による捕獲で1頭1万円の報奨金を出すことにしたのだが……。

「1か月で予算を使い切ってしまいました(笑)。300頭近く捕獲したのですが、それでも減った印象はないです。もう、何頭いるのかわかりませんよ。それに、ホンシュウジカは体が小さいので食用に向かない。捕獲して再利用も難しいんです」(古座町の担当者)

追い払っても捕獲してもダメ。まさにキングの名にふさわしい。

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シカは本来警戒心が強く、人間を避ける習性があるが、
最近では人里に定着する「アーバンディア」の存在も


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